週末コミコンに行っててコミック気分が高まってるので何故かいつも表紙がコミック風のリアムモンティアー本をレビューします。
これは2009年に出たキャメロンフランシスとの共著で、カードマジックが10個解説されてます。
中身は別にコミックと関係ないです。あっても困りますが。
Invisible Technology
2枚のキングの間に挟んだカードが消えていって、3枚消えたところでエースを1枚デックの上に乗せると、4枚のエースがコレクターみたいな状態で消えた3枚のカードを捕まえています。
モンティアー手品によくある、仕組みとしては面白いけど3回同じ動きを繰り返すだけなのはちょっとどうかと思うパターンのやつです。
原理は良くてノーセットでできるのも素敵なのですが、いきなりエース出してきたり演出も謎といえば謎。
A Rough Year
トランプには四季があってー52週あってーから始まる手品で、現象としては観客の言ったカードだけが色違いでしたというものですが、カード決めるのにカレンダーを使います。
注意を反らすための消極策と言えなくもないですけど、こういう小道具使いはカードマジックの単調さがなくなりますし、絶妙にそっちの方が怪しいと思ってもらえるのは嬉しいあたりです。
カードを知るのにワンクッション入るので、メモライズドとか使えばカードの名前が言われてからはデックに触らず現象起こすとかもできそう。
この手順は簡単にできて良いんですが色違いの見せ方がおかしいと言えばおかしい。
Playing Favourites
4枚のキングを出してカード2枚選んでもらって黒いキングで探すよーと言いつつ2枚のカードを見つけたと思ったらそれは赤いキングで赤いキングと思われてたカードが選ばれたカードでした的なやつです。
モンティアー作品でなんかカウント繰り返しながらサンドイッチする似たような現象のがありますが、これはサンドイッチの形じゃなくその分無駄な動きが減っているのでこっちの方が好み。
黒か赤か観客に選んでもらうパターンだと選ばれなかった方の扱いが丁寧すぎて変という問題があるところ、裏向きに置く理由もちゃんとあります。
Between the Signed Palms
Between your Palmよりミステリーカード寄りのトリックです。
ミステリーカードを1枚観客の手の下に置いて、サインカードがあって、他に2枚のカードがあってそれがトランスポジションして、ミステリーカードがサインカードになる的な三店方式。
なかなかややこしい話で、バノンの”Do The Twixt”もカード3枚選ばせるけどあれがいかにすっきり見せれてたかがわかります。
あと先にトランスポジション見せちゃうとミステリーカードの不条理性はなんとなく薄れちゃう気がしますね。
ガスタフェローの”MR. E. TAKES A STROLL”にも入れ替わり要素がありますけども、あれは入れ替わるカードのわかりやすさと観客の手に乗せる意味がはっきりしていて、ミステリーカードのミステリー性は中盤でも失われていませんでした。
モンティアーのミステリーカード系だとMOJOに載ってる”Hand Clap”というやつが複数現象なのですがあれはオチを邪魔してなくてよかったです。
Telling it Like it is!
2枚のジョーカーで2枚のカードをサンドイッチしますが、惜しいカードが挟まります。
ジョーカーを見てみると当たりのカード2枚に変わっています。
そういう現象が好きなのはもうわかった!
Subtle Sotto
カードを3枚選んでもらって、4枚のジャックに挟んで1枚ずつ特定していき、最後は選ばれたカードとジャックがトランスポジション、ジャックと思われてた4枚を見るとエースに変わってましたというオチ。またそういうやつか!と思いましたがこれはハンドリング的にも見た目的にもすっきりしてて良いです。
オイルアンドクイーン的なプレゼンテーションの難しさがあるのは辛いあたりではあります。
元ネタであるSadowitzの”The Whisperes”やバノン版の”Cries And Whispers”あたりと比較してもはっきり良いところがあり、カード当てる部分はわかりやすくなってるのは特に良いですね。
Collective Whispers
Subtle Sottoはフランシス作でこっちはモンティアーによるWhisperesのバリエーション。
カードを絵札に通すフェイズの後、セレクトカードをデックに戻して、その後コレクター状態になります。
ただし選ばせるカードは2枚、絵札は3枚しか使わない感じです。
絵札3枚にしてカウント時の枚数の矛盾問題がなくなってることと、カードをフォースしなくても良いのが強み。
トランスポジションよりもコレクター落ちの方がわかりやすいかもしれませんし、ハンドリングにも無理ないので良い手順だと思います。
Out of my Skull
パケット版のアウトオブディスワールド。
11枚のカードを5枚5枚に分けて、残った1枚を表向けると黒、片方の5枚を見ると全部黒、もう片方は赤という感じです。
コンセプト的にはありだと思います。
デック全体が一致するより小規模にすることで偶然の一致感は高まりますし、観客の選択によって何かが起こったという印象も強まって操作してもらった観客の頭には特に何かが残るんじゃないでしょうか。
ただ、パケット化してるのにカードをデックに戻す部分があり、その部分については特に理由がなかったりするのでアレだったりします。
ガイドカードを片方にすることでなんとなくそこが気にならないような気もしますが、構成上デックを置いたり持ったりしないといけないのも重たい感じ。
Moves
4枚のバラバラのカードをテーブルに置いて、そこに選ばれたスペードの10を一枚足しますがカードは4枚のまま。スペードの10はデックの中から表向きに出てきます。
もう一度スペードの10を4枚に入れると、バラバラだったはずのパケットがロイヤルフラッシュに変わります。
演出的には偽のデモンストレーション風の物が使われていて、1枚カードを動かしてから次は4枚入れ替わるという面白い見せ方で、手法的にも手数を減らす工夫が見られます。
Tear it Up 2
トーンアンドレストア。
まず最初に1/4だけ破ってそこが復活、次に4つに破って3/4復活という流れで移動現象もくっついてるので好みは分かれそう。
くっついてる箇所は増えてるけど最初に完全復活見せてるからオチの3/4復活が微妙に見えるのは否めませんし、消えたり移動したりするのは良いにしてもデックの中で操作するのは怪しいというより全体の印象がボヤけます。
このプロットはいくつか突出した傑作があるので何を読んでも見劣りするのは致し方ないのですが、もう一工夫欲しかった感じです。
デュプリケート増やしてでも最後どうにかして完全復活のフェイズがあればもう少し印象良かったと思います。
リアムモンティアーさんはレギュラー縛りじゃない方が良い作品が多いという認識なのですが、この本に関してはレギュラーで出来るやつの方が良かったです。
どの作品も原理的には面白いので、技法いじくったり面白演出足したりを考えられる人には良いかもしれません。
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