by jun | 2019/07/26

ヘルダーギマレスのDVDで、スクリプトマヌーヴァから日本語字幕版が発売されています。
RED MIRRORより前の作品集で演技のテンションとかちょっと違ってたりしますが、いかに自然に現象を起こすかってこだわりは変わりません。
レギュラーで出来るのも良いし、レギュラーデック以外の手品に抵抗ある人ほど見ると良いと思います。
7作品とおまけ2つ、傑作揃いの名盤です。

Crime Card Trick

3枚のカードを当てるサンドイッチカード。
サンドイッチにありがちなシュコッとする動きがなくクリーンで、2枚目だと思われてたカードがサンドイッチされたまま変化したりと楽しい手順です。

サンドイッチカードで犯人と刑事に例える演出はよく見ますが、裏の仕事や自然さのためにその演出を活かすのもらしいあたりでしょうか。
そもそもカード3枚選ばせて覚えてもらうってのが観客には退屈な時間なので、その時間をお互い無駄にしないという考え方は良いっすね。

Blank Deck Routine

デックの中から1枚カードを選んでもらい、封筒に入ってた4枚の白いカードの中に入れると1枚ずつそのカードに変化していきます。
デックの他のカードを見ると他のカードが全部白いカードになってるというオチ。

デックからカードを選んでもらうところは完全にフリーチョイスで、ブランクオチありきの手順じゃなくて途中の変化現象のクウォリティが高いからオチにもかなり意外性を持たせられます。
技法だけ取ると結構嫌なとこも多いんですが演技がまあ上手くて、タイミングとかセリフのかぶせ方とか完璧。
この技法はこういう風に使えばいいのかってのはヘルダー作品に多くて見る度に勉強なります。

Invisible Thread Routine

RED MIRRORでも解説されてるリセットのバリエーション。
このDVDではA出しのところで”4 for four”も一緒に解説されてます。

リセットのちょっと気になるところを見えない糸一本で全部解決してて何度見ても良いですねこれは。
あらためて見るとリセットの前振りで一段目の現象がよく効いてるのがわかります。
そのあとのサカームーブ的なかましがまたええですね。
ただ現象の伝え方とかリズムとかむずくて、DVDでも観客の反応が薄めだったりします。
コンセプトはあるけど微妙に起こってることが違うという難しさでしょうか。

S(h)ocking

サンドイッチされたカードとデックの中に戻したカードの枚数ごと入れ替わるトランスポジション。
二段目はキックバック風のオチがつきます。

キックバックのところはやや混乱しそうですが、これは枚数ごと変わるので見た目のインパクトで持っていけます。
あのペロンて枚数が増える見せ方めっちゃ好きです。
無観客試合ながらオフバランストランスポジション的な間とかすんこい良い。
1段目のデックに挟むところがちょっと厳しい感じがあるにはあります。

oil & water

2段構成の4-4水油。
ノーエキストラノーギミックで、置くカードの色を全部見せられて、分離示すのにカウントも不要。

個人的オイルアンドウォーターランキングの中でもかなり上位に入るぐらい好きな手順で、ノーエキストラの4-4だったらこれが一番好きかもしれせん。
2段目の4枚ずつに分けて示すのもあんま好きじゃないけど、これは流れ的に全然気にならないし、やっぱりカウントしなくていいのはでかいですね。

Out of this Water

アウトオブディスワールドの手順。
冗長になりすぎず、シャッフルしたパケットが赤黒に分かれるおまけ付き。
あの半分に分けさせるところが良いですよね。
なんか観客の自由な選択が色々増えていく感じ。
アウトオブ部分も疑問さえ持たれなければ矛盾が出ないやり方。
例のあそこの処理の流れも参考になると思います。
少ない枚数でやるとあれもそんな気にならないってのも確認できるかなと。

Visual Triathlon

ピットハートリングのトライアスロンの改案で、引いてもらう、見て覚えてもらう、思い浮かべてもらうの3種類で選ばれたカードをサンドイッチで当てます。
Crime Card Trickとちょっと似てますが、思い浮かべたカードも当たるのと、途中ちょっとしたギャグからのツイストがあるのが肝。

ピットハートリングのと比べると思い浮かべたカードを当てるインパクトはやや落ちますが、安定性があって巧妙さが楽しい手順です。

あと、ボーナストリックでフォローザリーダーとカラーチェンジングトライアンフの解説があります。
フォローザリーダーはパケットのカード全部見せた感が結構強く、動かすのは全部パケット側で技法っぽい技法にあんま頼らないので割とおすすめです。
カラーチェンジングトライアンフはよく考えたら「実はKに印がついてるんです」という演出がプロダクション部分をないがしろにしてるっぽい気がしなくもないですが、変に気を使ってカード選ばせたり戻したりする部分を省略できるのは大きすぎるメリットです。

というわけで無事にSecret Languageの発送がまた伸びたようで過去作振り返る時間が出来てよかったですね!

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