Kurl FulvesがDoverから出してるセルフワーキングトランプ手品の本、Self-Working Card Tricks、More Self-Working Card Tricks、New Self-Working Card Tricks、My Best Self-Working Card Tricksとこれの5種類ありますが、これは1995年に出た3つ目です。
56種類のカードマジックが解説されていて、一部際どいものもありますが全部がセルフワーキング。
ブレークもコントロールもなんとかターンオーバーも必要とせず、そのせいかちょっと手続きが長いものもありますが、そこらへんはなんとでもすれば後は原理がなんとかしてくれます。
だいたい2ページ以内に解説が終わる短い文章ながらセリフもちゃんと用意されていて、どう演じて良いかわからないというような感じもありません。
現象も幅広く、オープナー、犯罪、記憶術、フォーエース、ナンバートリックとスペリング、ギャンブリング、ギミックカード、スリージャックディール、他の素材と組み合わせたもの、ライジングカード、カラーチェンジングデックとチャプターが分かれています。
このシリーズ通して読んだの初めてでしたが、意外にも単純に表を見て探すロケーショントリックは一つもなく、知らないトリックや原理ばかりでとても面白かったです。
Magic by Design
図形を一つ決めてデックがその形にトランスフォームする手品。
トランスフォームは輪ゴムを使ってかちゃんとなるやつで、こういう使い方も乙なもんです。
図形の決め方はセルフワーキング縛りのためちょっとあれですが、まあなんとでもなります。
True Colors
表裏ぐちゃぐちゃに混ぜてスプレッドすると片面が赤だけ、もう片面が黒だけになってて色違いの混ざってるカードが観客のカードみたいなやつ。
これ色んなやり方がありますが、混ぜさせ方が凝ってて良い感じの手順です。
Flyaway Cards
2枚のカードが消えて表向きに現れます。
デックを見て確かにカードがないことを確認し、観客にここにあるのだろうと想像させてから表向きに現れる見せ方をするもので、良く出来てる手品です。
Too Many Cards
カードアクロス。
ポケットを使うものですが、消えるのは観客の手の中から消えるのでカードが移動したという説得力があります。
Caught Between
サンドイッチカード。
裏向きのデックに表向きで戻して、指を鳴らすとまず裏向きになり、もう一度指を鳴らすと両隣のカードが表向きになって挟まった状態になるという見せ方です。
最初からサンドイッチカードを出しておかないものですが、2枚のカードは把握しておくことが出来るので、何と何が表向きなってと宣言することも可能。
Perplexing Pen
ペンのクリップ部分でカードを挟むトリックです。
プロダクションの一つとしてとても良いものですね。
セルフワーキング本なのでコントロール方が趣きあります。
The Almanac Deck
トランプにまつわる52週あってーなんとかでーの話に合わせてスペリングするとセレクトカードが出てきます。
セルフワーキング縛りだとやや予定調和感が強いですが、コントロールかスタックシャッフルができれば不思議さは高まりそう。
Ace Finds Ace
観客にシャッフルしてもらったデックを2つに分けて、表向きにしたカードがAでさらにAが見つかるトリック。
最初にシャッフルしてもらってから始める方法がミソ。
別にこれじゃなくても良いっちゃ良いですが、スムーズな動きで出来ます。
The Three Burglars
銀行強盗を捕まえるという形のコレクターみたいなトリックです。
セルフワーキング化するためにコインを使うのですが、演出とも上手く絡まっていて結構良い感じです。
Bonnie and Clyde
QとKの中から1枚ずつ選んで、シャッフルして配り直すと3枚のQの中に1枚のK、3枚のKの中に一枚のQという形になっていて、その一枚が選ばれなカードというトリック。
ちょっと苦しい感じもありますが、Bonnie and Clydeのストーリーがついているので楽しく乗り切りましょう。
Go to Jail
カードを2枚選んでもらい、1枚は表向きにしたカードの隣に、もう1枚は箱の中に入れた2枚のカードの間に挟まって現れます。
2枚のカードをコントロールする方法が数理的でこの手順に合ってるかどうかはおいといて面白い方法です。
箱の中のサンドイッチは普通にめちゃ良い現象ですね。2段になってることで不思議度も増して移動した感じもアップしてると思います。
Pack of Lies
カードで嘘つき役と正直役を決めて、誰がポケットにカードを入れたかというのを当てる手品。
ルールも当て方もシンプル。
これ系の手品ってちょっと考えたらわかりそうでわからんのがおもろいですね。
普通にめっちゃ良い手品だと思います。
Super Count
抜かれたカードを当てるという演出で見せる手品です。
某難しい技法を簡単にできるようになってます。
手順的にも確かにデックから1枚抜けたカードを探してるように見せれるようになっていて、セルフワーキングに囚われずに色々工夫することもできそうです。
Mental Countdown
観客の言ったカードの枚数目を当てるトリックです。
当てるというかデモンストレーション的に見せるもので、結構リアルに見せれます。
Moeのあれ的な某原理を使うもので、即興的に演技する方法が解説されてます。
こんなの解説されてるんやと思った一作。
Mind Mirror
これも抜けたカードを当てる記憶術的な演出ですが、特定方法が面白いです。
Expert Card Technique に載ってるMind Mirrorとはまた別で、こっちの方が簡単にセットできて観客にシャッフルしてもらうこともできます。
The Memory Expert
観客のカードの枚数目と、言った枚数目のカードを当てます。
非常にシンプルな原理ながら、かなり説得力ある見せ方です。
即興で出来るし、これ系の現象の中では一番気に入りました。
Stop at an Ace
観客がストップしたところからAが出てくるのが4回繰り返されます。
あれを4回もするのは大丈夫なのかしらんと思わんでもないですが、逆に繰り返すことで産まれる何かもあるのかもしれません。
これちょっとポロリスクが結構あって怖いです。
Tap Reverse
観客の選んだカードのメイトカードが表向きになるというのを2回繰り返してフォーオブアカインドを出す手順です。
某フォースはこういう見せ方もあるのかという感想を持ちました。
繰り返すことでフォース感が強まるのは手順としてデメリットでもありますがそこはまあ見せ方次第ってところでしょうか。
Double-Dealing
4枚のAとKを出す手順です。
4つに配るやつですが、観客がひっくり返したパケットを配ってもらえるようになっていて、このやり方はかなり良いと思います。
これは色々応用できそう。
Dealer’s Choice
10カードポーカーディールみたいなやつをAとKの8枚でやる手順。
Aが強いわけですが、観客が何度も選択したのにもかかわらずAは全部演者の手札にきます。
ちょっとしたセリフの言い回しだけでうまいことやっていておもろいっすね。
AとK出した後にこういうトリックが解説されていて親切。
This Is Not the Card
カードが外れて、This Is Not the Cardとスペリングすると出てきます。
この枚数目にコントロールする方法ということですが、他と比べるとあまりスマートではないですね。
サカートリックとしては普通に良い演出のトリックだと思います。
Coincido
メンタルセレクションと、カードを4つに配って一番上の合計数からそのカードが出てくるという組み合わせ。
ラリージェニングスの作品だそうです。日本語でも出たあの本とかあの本に似たような原理のやつがあり、なんか知らんけどそうなる感じがおもろいやつです。取り出し方は様々ですが、合計したとこから出てくるのは無駄な事がなくて良いですね。
予定調和にも全く見えないです。不思議。
Five-Card Mental
5カードメンタルセレクション。
アウトをアウトとして見せるのは面白いのですが、なんでもそうなるやんと言うことになりやすいのは辛いところでしょうか。
The Square Deal
あるルールで3×3に配ってもらい、真ん中に集まったカードの合計数枚目のカードが予言されています。
実際は割と縛られているのですが、カットしてもらえることで自由に見える感じです。
A Card Is Found
配ったとこのカードの数字の枚数をまた配って観客のカードが出てくるやつ。
ノーセットで出来ます。
積み込むとこを自然にできるのでこれは不思議ですね。
ダニダオルティスが似たような手順やってたと思います。
Beat the Cheat
積み込む様子を見せていきますが、何故か演者ではなく観客の手札に4枚のAが集まるポーカーデモンストレーション。
ノーセットでスタートすることが出来、あらかじめこうやるんですよつってやるので意外性は高いです。
トリックの合間にやるリラックスした状態で小噺的に始めれば普通に面白そう。
Gambler’s Last Chance
ポーカーデモンストレーションというより、4枚の手札に1枚加えて強い役を作るカードを観客が選ぶというトリックです。
なのでまあフォースならなんでも良いと言えばそうですが、一応最後に2択の選択をするのでそれなりに見える感じではあります。
この辺はセリフの言い方勝負ですね。
Straight Up
ストレートの手札をデックにバラバラに戻し、また配る手順です。
完全にセルフワーキングですが、それっぽい雰囲気を醸せばそれっぽく見えると思います。
綺麗な手札じゃないので、手札の出し方がポイントで、ここをラフに出来れば普通にガチで通りそう。
The Lazy Gambler
カットディーパーを使った2人のポーカーデモンストレーション。
配るところがちょっとセルフワーキングとは言えない感じの辛さがあり、ポロリの危険が結構あります。
セットもやや手間です。
Test Your Skill
4枚の中から1枚表向きにして、それをデックに戻してポーカーハンドを配ると、表向きのカードがある手札がフォーカードで勝ちます。
他の手札を示さないといけなくて、示すとなんとなくそういうことかという感じになりそうではあるのですが、見せ方としては結構面白い手順な気はします。
The Wizard of Odds
何枚かずつ配って、スペードのAが入ってる人が勝ちという賭けです。
デビッドカッパーフィールドがテレビで演じたというプロットらしい。
スペリングが入ったり、完全に観客に操作してもらえる手順ですが、プレゼンテーションはめちゃくちゃ難しいですね。
Mona Lisa
観客に一枚サインしてもらい、コップに立てかけ、デックを広げると裏に字が書いて破れたカードがあり、それがサインカードで、立てかけたカードも別のカードに変わってるという手品です。
モナリザと贋作をテーマに語られる演出で、超低負担でインパクトのある変化現象が楽しめます。
Laser Printing
4枚のカードを表向きでテーブルに置き、バツ印が書いたジョーカーでひっくり返していくと裏にバツ印が印刷され、ジョーカーの印は消えます。
ちょっと観客に説明し辛い状況で始める必要があるトリックですが、演出的にはわかりやすくエンドクリーンです。
Simon Says
5枚ずつカードを持って、同じように裏向けたり表向けたりしますが、演者と観客のパケットの状態が異なります。
覚えるのが大変ではありますが、現象は面白くて良いっすね。
ギミックの使い方としても変わっていて楽しい。
Chase the Ace
ツイスト現象を含むスリーカードモンテ的な現象です。
最後は別のカードに変化します。
絶対に手渡せないカードなのですが、一応そのツッコミが入らない見せ方になっていてあんまりストレスなく演じることができそうです。
McDonald’s Aces
マクドナルド エーセスです。
セルフワーキングでどうやんのかと思って読みましたが、なるほどという感じでした。何の問題もないと思います。
ストーリー的にもギャンブルをテーマにしたもので、淡々とアセンブリやるより演じやすいかなと。
Jack Jack Jack
3枚ずつ配って片方に3枚のジャックが集まるという手順。
ここから先このテーマのが続きますが、
これ単体だとイマイチ面白さがわからず。
Three-Jacks Improved
ちょっとだけ工夫が足されて矛盾がないように見えるスリージャックディール。
Unstacked Jacks
こうやってスタックするんですよーとJを交互に混ぜるも、トップ3枚がJになる水油的な手順。
確かにこういうのを混ぜつつルーティン化すれば面白くなりそうな感じはあります。
Three Jacks and a Pat
ロイヤルフラッシュオチのあるスリージャックディール。
これは普通に良いっすね。配って重ねてを繰り返すだけで意外性のあるオチになってます。
ここまで手順化されてると面白さがわかりやすいです。
Progressive Poker
スリージャックディールの長編ルーティン。
3枚、4枚、5枚と配る枚数を増やしていきロイヤルフラッシュで落ちます。
途中ちょっとグダるのでそこらへんの話術が肝にはなるとは思いますが。
たぶん普通に見せるならThree Jacks and a Patの方がバランス良くてやりやすそうです。
Spell Purple
REDとスペリングすると赤のカード、BLACKとスペリングすると黒のカード、DIAMONDとスペリングするとダイヤのカード、PURPLEとスペリングするとPURPLEと書かれたカードが出てきます。
ちょっとセルフワーキングと言いづらいところもありますが、そこさえ乗り切ればオートマティック。
日本語でも頑張ればいけます。
Pushbutton Magic
電卓に数字入れてひっくり返すと選ばれたカードを示す文字に見えるやつです。
これはさすがに日本語じゃきついですね。英語圏の人が見てもどうなのでしょうか。
Tale of the Tape
テープレコーダーの指示に沿って操作したカードが予言されています。
これたぶん実際にやったら再生したり停止したりカッチャカッチャカッチャカッチャやるのが楽しくてとても良さそう。
あと、某ディールもこういう面白形式でこうしなさいと言われると不自然とか言ってられなさそうで良いですね。
A Word in Thousands
ブックテストです。
単語を決めるのにカードを使いますが、実はこのSelf-Working Close-up Card Magicという本に仕掛けがあってこの本を使ってトリックを演じられるようになってます。
これ全く知らなかったけど有名なんですかね。
日本にはもっとやばいのがあるのでそこまでの感動はないですが、ちょっとおーってなりました。
Tic-Tac-Toe
○×ゲームの配置をカードで決め、必ず演者が勝つようになる手順です。
なかなか深い原理です。
カードを使う理由も、普通にやると勝ち負けが決まらないので、で行けますし。
Simplex Card Rise
ハンカチをかぶせる形のライジングカード。
カードの示し方まで丁寧に解説があり、普通に良いトリックだし露出してないなりの面白さがあります。
Cards from the Case
こっちはカードケースを使ったライジングカード。
複数枚のカードでやる手順が解説されていて、なかなか凝ったコントロールをします。
カードケースはハンカチより予測されやすそうな気はしますので、普通に1枚で良さそうです。
Excelsior Card Rise
ジョーカーを突き出した状態でカードケースに入れ、中まで押し込むと反対側から選んだカードがピョコンと出てきます。
面白い仕掛けを使います。
半分まで差し込んだ状態を見せれるので、ただところてんで押し出されたように見えないのが良いですね。
Special Delivery
封筒の中にパケットを入れて、横から鉛筆を刺してくるくる回すとカードが競り上がってきます。
くるくるするのがやたら楽しいです。
カードケースと違って封筒入れるとどっから出てきたかも見えないので良いっすね。
Reverse Colors
カラーチェンジングデックの手順です。
フォースとかも使わず、観客は何もしないカラーチェンジングデックする手順ですが演出がとても良いです。
うまいことそのイメージを伝えればかなり説得力ある現象になります。
マジで負担0怪しいとこ0なのでめっちゃ不思議。
Chemical Reaction
7枚のカードを観客の選択によってどんどん裏向きにしていき、最後に残ったカードだけ色違いでしたという手品。
観客の選択というか他の誰かの選択というか、まあそういうものなのですがこれが非常にうまいこと出来るようになってまして、セリフと現象的に超綺麗にまとまるパターンもあって良いです。
The Red and the Blue
赤いデックと青いデックを使ったカラーチェンジングデックの手順。
観客が自由に選んだカードが色違いという見せ方が出来るようになっていますが、ちょっと言い方とか前後のセリフとかを考えないとオジャンになる系ではあります。
1枚を演出で上手いこと処理してるのは綺麗なのでちょっと挑戦してみたいですね。
The Forgetful Gambler
パケット単位で表裏に混ぜてロイヤルフラッシュ出してからのカラーチェンジングデック。
パケットで混ぜていくところ渋くて良いです。
ロイヤルフラッシュ出していく過程で色の説得力出せるしカラーチェンジングデックとしてのインパクトも申し分なし。
52-Card Monte
何かのオチではなくモンテの演出だけで頑張るカラーチェンジングデック。
サトルティは十分なので普通にインパクトあって良いと思いますね。
ここに載ってるカラーチェンジングデックの手順はどれもデックスイッチが出来た方が良さげというのはありそうです。
Out of This World
アウトオブディスワールドです。
コップと仕切りを使って分けていくもので、あーそういうやり方があるんかって感じでした。
道具は要りますが楽しくてクリーンです。
各チャプターごとに好きな作品選ぶと
True Colors
Pack of Lies
The Memory Expert
Double Dealing
Coincido
Beat The Cheat
Mona Lisa
Three Jacks and a Pat
Tic-Tac-Toe
Special Delivery
Reverse Colors
Out of This World
これだけでも十分読んだ価値ありましたね。
解説はちょうど良い端的さで、自分なりに見せ方を工夫する余地もあって楽しく読めます。
続けて読むとセルフワーキングパンチドランカーになって、他の資料でブレーク取れって言われただけでイラッとする体になるので毎日ちょこちょこ読むのがおすすめです。
Comments
No comments yet...