by jun | 2019/12/30

ベンジャミンアール新刊です。
まず外観がとてもとても立派な本で、箔押しがされてる豪華な装丁になってます。

控えめながら存在感のある背表紙。

下にはStudio52のロゴマーク。箱のようで箱でない。

ざらざらとしたような張りで、手に持ったときの感触が非常に良いです。

上質な紙にフルカラーの写真が使われています。

この一冊が本棚にある生活と、絶版になってから買っておけばよかったと後悔する人生、あなたはどちらに幸せを感じますか?


初めてこのブログを読んだ人はたっぷり写真を紹介してくれるんだなーというのと突然語りかけてきて気持ち悪いやつだなという2つの感想を持ったと思うのですが、別にいつもはこんな感じではございませんで、まあ書くことに困ってるなこいつという雰囲気だけ伝われば大丈夫です。幸せを感じるとか言い出したら終わりだと思います。

んで、書くことに困る理由はいくつかあるんですけど発売したばかりだし発売したばかりでなくてもポロっと核心に迫るようなこと書いてもまずいし、何よりあんまり先入観持って読まない方が良いんじゃないかというのがあります。
商品説明文には期待が高まることが書かれていて、実際に届いたらこの鬼装丁、本を手に取った瞬間のワクワクする気持ち、その思いを胸に今後の人生を過ごしていただきたいと思います。
これは期待を裏切られるとか良い悪いという話をしてるわけではなく、なんか凄いことが出来そう!というテンションって大事ですし、この本の作りから著者のマジっぷりを感じるのは結構重要です。

それで実際にこの本に書かれている事は凄いです。
そしてベンジャミンアール級のマジシャンが書いてこそという内容になってます。
誰が言ったかより何を言ったかが重要という話はそれはまあそうだろうと思うわけですが、誰が言ったかが大事ということも全然あって、例えばテレビでスポーツを見ていて現役時代に名プレイヤーだった解説者が「ここはミスをしないことが大事です。反則にも気をつけないといけませんよ〜」と言ってるのを聞いたら、そんなこと俺でも言えるわと思うのと同時にこの人がわざわざ当たり前のことを言うのだから今は特にミスと反則に気をつけるべき局面なのだなと感じるわけです。
それにしたってもう少し具体的な言い方があるやろとは思いますけど。
例えば天気予報で「概ね晴れで、所によりにわか雨の可能性もあるので、傘の準備があると良いでしょう」と言っていたら、ほとんど何も言ってないのと同じやんと思いつつ傘を持っていこうという気になります。
なんだかんだ一日中晴れて持っていった傘を忘れてきたりして、それでも雨が降るよりましだったと思うわけです。

ベンジャミンアールは紛れもなく世界トップクラスのカーディシャンでありその評価も定着していますが、その立場のマジシャンが2019年の今何を考えているのか、それはもちろん読む価値があります。
特に今回はコラムパートが非常に興味深い内容で、こんなこと考えてる人がいるのかという面白さもあるし、彼が目指しているマジックをよりリアルにする方向の話です。

まずA New Angle。
これはディーリングポジションについての話なのですが、ある超古典本を斬新な切口で読み解いていてここは本当に面白かったです。
へーへー言いながら解説を読んでから元に当たると全く新しい本に見えてきます。
研究しつくされてると思われてるものに新たな視点を見出すのは素直に凄い。バックトゥベーシック路線の本気を感じました。

そしてThe Art of Practice。
ある変わった練習方法が紹介されています。
この本の手順パートを読んでまず思うのは「あー上手くなりたいな」ということなので、こういうのあると助かりますね。
たぶんこれを読んで鼻で笑う人もいるでしょうし、タイトル見た時点ではなんでもアートオブってつけたらええってもんちゃうんやでとは思いました。
ただ、絶対に重要なことなのに軽く扱われがちな事を取り上げていて、より自然に見せるための手法として理にはかなってると思います。おそらく手品を芸術に近付ける方向でもあるのでしょう。
もちろん検証の余地は全然あるものですが、そもそも上達させる方法やカード以外の動きについては語られる機会が少ないのでどんどん研究を進めて欲しいです。
例えばこれがプロスポーツの世界なら速攻で検証されて実践されるような類のものなので、色んな人にフィードバックしてほしい感じの話。
まあとりあえずはベンジャミンアールがやってるって言ってるんだからというノリで試してみて無駄になるようなことはないと思います。
そういえば今年Vanishing Incから出たRetreatというボックスセットの中にベンジャミンアールのReal Magicというノートが入っていて、これは過去に発表されたものをいくつか再収録したものなのですが全体的にThe Shiftと合わせて読むと面白い感じになっていて、どこまで意図的かはわかりませんがこのタイミングで出したということは彼が今でも重要視してる内容ということだと思うので一緒に読むとより理解が深まるのではないでしょうか。

解説されてる手順と技法については詳しく触れないでおきますが、好みは絶対に分かれる本です。
この種のマジックがそんなことやって面白いのかという感じで批判されることもあります。
当然どちらかが絶対的に正しいということはないので、世界トップの極端な意見に触れるのは良い機会でしょうし、この手の手品が好きじゃなかった人も読めば価値観が変わるかもしれません。
そうでなくてもより細部へという工夫はどんなマジックにも共通して伸ばせる部分であり、全体読むとその取り組み方の姿勢が見えてくるので読んで損はないでしょう。
Past Midnightのイメージで突っ込むのは注意した方がいいかもしれません。10年前のDVDですが、ありゃ一体なんだったんだろうねという感じがします。同じ人がやってるのであれに刺さればこっちにも刺さる可能性は高いとは思いますが。
まあでもこのちょっとえって感じがないとベンジャミンアールの本を読んだ気がしないし、今回はストレートに面白い試みをしてる部分も多いので、最近の中では広い読者層を想定している気もします。
このぼんやりした感想文からお察しの通り手に余っておりましてなかなかその面白さを伝えきれないのですが、飲んですぐ効くものではないので読むなら早めにということだけ年の瀬にお伝えしておこうかなと。

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