スリーカードルーティンズの名の通り3つのルーティンが解説されています。
知り合いにスリーカードモンテのDVDだと思ってスルーしていた人がいたのですが、レギュラーデックだけで出来る傑作揃いの歴史的な名盤です。
Triumph and Triumph Again
ジョンバノンのPlay it Straightの改案です。
ハートの5とスペードの3が選ばれたカードとして、ハートの5は箱の下に置いておき、スペードの3はデックに戻します。
表裏ごちゃ混ぜにしたデックを広げるとハートだけ表向きになっていて5が抜けています。
ここまでは原案と同じで、ここから特に怪しい操作もせずに(お客さんにリフルシャッフルしてもらうことも可能)、もう一度広げると表向きのカードがスペードに変わっていてスペードの3が抜けています。
さらに箱の下のカードがスペードの3に変わってるという畳み掛けクライマックスです。
たぶんこのDVDの中では一番好みが分かれる作品かと思います。
そもそも足し算方向の改案で、原案に不満箇所が少ないので無理やり増した感はあります。
いつのまにか変化してる現象は面白いですがカード2枚覚えさせるのもちょっと重たいですね。
カード1枚だけ覚えさせる場合の演出も解説されていて、そちらの方が現象がすっきりしてて良いと感じました。
トライアンフとサッカートリックの食い合わせの悪さみたいなとこは感じるので、痛し痒しではあるのですが。
A.A.C.A.A.N.
エニエニです。
限りなく完璧に近いです。
完璧に近いというのは厳密には完璧とされているバーグラスエフェクトではないからで、バーグラスエフェクトの条件は「カードも数字もフリーチョイス」「デックははじめから観客の見えるところにある」「演者はデックに触らない」「カードは観客が配る」ですが、このエニエニは演者がデックに触ります。
そもそもバーグラスエフェクトというのは全てを満たしようがないので、観客から見てそういう印象になるものを目指すのが正しいアプローチです。
そういう意味でこのエニエニはカードを観客に配ってもらえますし、箱からカードを出してすぐに渡すので演者がデックに触ったという印象は持たれません。
自然にやろうと思うと難易度はかなり高いです。
特に頭と手と口を同時にごにょごにょしなきゃいけないので実践で使えるレベルになるにはかなり時間かかると思いますが、これ以上いいのはたぶんこれからも出てこないので練習する価値あります。
Double Exposure
表裏ぐちゃぐちゃに混ぜたデックを観客のスマートフォンで撮影し、写真を確認すると観客のカードだけが表向きになって写ってます。
これも歴史に残る大傑作でしょう。
観客のスマートフォンを触るマジックは少し気を使う部分もありますが、これはカメラアプリを起動するまでは観客に行ってもらえますし演者はシャッターボタンしか押しません。
その場で写真を確認できればいいのでチェキ的なものでも演技可能です。
ハンドリングは非常に賢く、負担もそれほど大きくありません。
お客さんにファンを持ってもらうのが少し怖いですが、ちゃんと押さえるとこ教えれば落とす心配もそんなにないです。
カードマジックと言ってもほとんど現象は出尽くしているので、あとは手法の細かいブラッシュアップ作業になりがちですが、古典をここまでうまく現代的にアップデートした例もそんなにないでしょう。
これ以降スマートフォンのカメラを使ったトリックをいろんな人が発表していますが、これを超えてるのをまだ見てません。
個人的にはDouble Exposureが一番お気に入りで、A.A.C.A.A.N.は絶賛練習中、Triumph and Triumph Againは広いテーブルがあるとこでゆっくり手品することがあればやってみたいなって感じです。
Asi Windさん新作もかなり面白そうで、あんなエニエニ発表して満足せずShuffled Any Card at Any Numberとかさらなる高みを目指しててやばいです。
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