トリロジーの3巻組からちょっと時間空いてから発売された続編的なDVDで、内容的にはコントロールやカラーチェンジなど技法が中心です。
作り的には3巻のEverything Elseに近いでしょうか。
元からある技法を発展させたようなアイデアが多く、ビジュアルだけでなくよりディセプティブに見せるようなものも多く、クイック系現象に興味ない人でも参考になる部分は多いかと思います。
Portal
テーブルを使わないスプレッド間のカードアクロス。
超ビジュアルで、この中だけでスイッチもプロダクションも新しい方法が学べます。
難易度はかなり高く、特にプロダクション部分はスプレッドした形でやるのがかなりむずいです。
そこらへんうまく原理と組み合わせてたSubwayとは違って、全部スライトでやったるわ感がたまりませんね。
カード1枚がありえない移動するのは魅力的で、バニッシュとプロダクションを同じ速度でやるから今移動したってのがわかりやすいのもこれ以上ないんじゃないかって思います。
後にパトリッククンあたりがあのムーブを賢く実用的に使っていますが、ダイレクトだからこその不思議さがあるわけです。
Goat Change
デックに表向きにカードを1枚突き出した状態で差し込んで、指を鳴らすとカードが変わります。
指を鳴らした瞬間にビジュアルに現象が起こるものもありますが、これは指を鳴らさないと絶対にカラーチェンジしないのでマジカルジェスチャーがマジでマジカルジェスチャーしてて素敵です。
これも難易度は高めになってて、これと逆の動きのカラーチェンジの”NOVA”の方が何倍も簡単じゃないかと思います。
一応工夫とかはあるんですけど、これ高い確率で成功させんのは相当やりこまないときついです。
Manfred Shuffle
テーブル使わないリフルのフォールスシャッフル。
同様の技法はヘインシュタインシャッフル、グリーンシャッフル、グレイシャッフルなどありますが、Manfred Shuffleの特徴は手首を動かさなくていいことだったりします。
理由はあれをしなくていいからなのですが、その分角度制限はあって、正面はかなり厳しい感じです。
強いのはPVでも見せてる演者から見て右方向。
そっち向いてさえいれば手首をくねくねさせないので怪しくないです。
全貌が見せられないので音も重要になってくるわけですけども、かなりリアルなリフル音を鳴らせます。
これ系のシャッフルについては結局何を犠牲にするかというところがあって、前からの角度強くしたけりゃベンジャミンアールのグレイシャッフルやアルスさんのフォールスシャッフルを覚えておくのがいいかと思います。
Autocatch
サンドイッチカードです。
テーブルに置いた2枚のカードに向かってスプリングすると間にカードが挟まるかっこいいやつ。
サンドイッチカードって既に挟まってるのをいかにビジュアルに見せるか勝負になりがちなんですが、この手順はコントロール部分が非常に良くできていて、テーブルに置くという意味でずっと通ってるので持ち替えの多さの割にノイズは感じません。
blind bluff
ブラフパスのバリエーション。
tivoで使ってたのより説得力高まっています。
ポイントはお客さんの手を使わなくても、ただデックの上でカードを表向けたり裏向けたりするだけで完了できる点。
ブラフパスって返してもらう瞬間が一番怖いというところがマジホラーなので、こういう見せ方もできると嬉しいです。
いやいや別にそんなコントロールせんでええやんという話もありますけど、戻してから何もしてないように見えて2枚目以降の好きな枚数目にコントロールできる技法ってあんまないので、テーブルなしで行えるこういうのはマスターしたいところ。
click change variation
前作で発表されたclick changeはスナップチェンジのバリエーションでしたが、更にそのバリエーション。
投げたカードが空中で変わったように見えてエンドクリーンという強いカラーチェンジです。
元がスナップチェンジなので正面に向けて行えるというのも強みですし、処理を強いミスディレクションの中で行えるのもこの手法ならではって感じで素敵だと思います。
難易度もそこそこに抑えられてますし、click changeやったら別にスナップチェンジでええやんってなりそうなところを、いい感じに改良してくれた感じです。
Hedberg All Over
トップとボトムのカードが何度も入れ替わるルーティン。
1巻収録のHedbergs PeakのAll Overバージョン。
ちょっと意外な解決法なのですが、そのおかげで非常にクリーンでわかりやすくなってて、ノイズは最小限。
それ使ってる割にそれ??という微妙なトランスポジションが多いので、このすっきりさと無駄のなさは気持ち良いものです。
特に縛りゲーやってるわけじゃなさそうなので、この方向で色々やってほしいなという気持ち。
Ginastaire Double
親指の付け根あたりでくるくる回転させるダブルカードのテクニック。
いくつかダブル関連の技法が紹介されてますが、どれも自然とは言えない動きではあるのでアクロバティックに振り切ったこれの気概を買いたい感じです。
他で紹介されてるダブル技法も決して実用的というわけではありませんが、そんな動きできんのかっていう可能性を感じると共に、動きが派手ならそれはそれでチェンジの現象として成り立ったりするのかなという感じもします。
少なくとも「デックの上で裏返して一枚押し出す」という段取り臭さからは解放されますし、ビジュアルのワンテンポ遅れみたいな示し方はなんとなく心地よかったりするのですけど、まあ怪しくないかっていうと微妙なところで、彼らが自身のことをマジシャンじゃないとか言うのもこのあたりに理由があるのかなと感じました。
彼らのダブル系技法だとIf An Octopus Could Palmに載ってるundertowなんて超手品的で素敵なのですけどね。
このDVDもトリロジーほどの衝撃があるわけではありませんが、既存技法やトリックのバリエーションを更に効果的に見せようという工夫が満載で、普通に良いものだと思います。
Autocatchとか本当めっちゃ良いですし、シークレットムーブ関連はマニアを騙すことを徹底的に考えられていて面白いです。
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