by jun | 2018/07/05


1巻目や2巻目のようながっつりした作品というわけではなく、カラーチェンジやプロダクション、フラリッシュのアイデアがメインのディスクです。
まあカラーチェンジもプロダクションも全然そのままでマジックとして成立するようなものですし、カット以外のフラリッシュが解説されてるのでアクセントとして覚えておくと良いものばかり。


flourishes 101ではフラリッシュの基本が20個ぐらい解説されていて、これだけ見てもかなり遊べる内容になってます。

A FEW MODERN CLASSICS

マジックにしてもフラリッシュにしてもモダンクラシックは彼らの一つのテーマですね。
今でも残り続けてる歴史的な作品を誰も見たことない形でやって驚かせるスタイルは、本質的な部分を失わずに現代的に読み変える能力の高さでしょう。

ここではリフルシャッフル、ルポールスプレッド、プレッシャーファンあたりが生まれ変わっています。
“Hugh Scott Shuffle”はカスケードの向きが下から上になったリフルシャッフル、”The LePaul S Spread”はルポールスプレッドの変形、”Under Pressure”はプレッシャーファンを広げずにカードを流すという捉え方。
The LePaul S Spreadはシンリム以降また流行ってきた感がありますね。シンリムは手順の中であれをやる意味があって、れはあれでとても賢い使い方でした。

他に解説されてる”T.G. Deck Flip”はもはや基礎スキル感ありますね。
インスタグラムのカーディストリー動画とか大半がこれで終わってる気がします。
キュッとしまる感じありますし、簡単に終わりを表現できるので便利です。

TABLE WORK

テーブルを使う動きの解説。
オシャレなフォールスカットとプロダクションです。

“Heap Snatch”はパケットを一つ別の場所に放り出す動きがあるフォールスカットで、トップも追われにくくおしゃんな感じも出ています。
ラフな動きなので予定調和っぽさもないのが良いですね。

“Blackjack Production”はテーブルリフルからの4Aプロダクションの後、シュパっとやると4枚のジャックも出てきてブラックジャックになります。
プロダクション部分はジャックカーペンターのあれなのですが、1枚ずつカチカチしなくていいようになっていて、そのおかげで出した時もスタイリッシュに見える感じです。
それをテーブルなしで行う”Shuffled Aces”もかなり良くて、テーブルワークちゃうんかいという突っ込みはどこかに消えました。

白眉は”The Forte Flourish”というプロダクション。
テーブルのスプレッドを立てて、横に倒していくのですが一枚だけ立ったままになります。
見た目が非常に面白く、彼らのビジュアル現象とは違う趣きがあります。

RANDOM COOL

いつでもクールなお二人がクール言ってたらどんだけやねんというカラーチェンジとかプロダクションとか。

スナップチェンジのバリエーションである”The Click Change”は物理的な無理っぽさに加えて残骸処理がダイレクトに行われてとても良いです。

超クールな4Aプロダクション”Real Time”はめちゃくちゃ綺麗なディスプレイで、Aを出した時にありがちなマークが指で隠れてしまう問題を解決してます。
この手のプロダクションではやや特殊なセットが必要ですが、「Aを出す」ということに関してはこれ超えるのはなかなか難しそう。
The Queensのラストとはまた違った出し方で、あれは絵札の方が映えるプロダクションなので、カードのフェイスとのバランスがよく考えれてるのがわかります。
自分のフェイスとクールなプロダクションのバランス問題だけが残って悲しいですね。

1巻に収録されたThe QueensのバニッシュパートからCollectorsに繋げるアイデアが”Queens Transition”として解説されてて、Collectorsの表向きセットが不要になりました。
Qを消していくことで探しにいきました感も出るし、かなり強くなります。

MOLECULE REVISITED

プロダクションメインのパート。
フラリッシュカットの終わりに4Aが出てくる”Molecule 2, Four Card Production”はかなり良いです。
カット系のフラリッシュが閉じられていく物悲しさみたいな余韻もなかなか味わい深いものがありますが、最後にAが出てくると素直にテンション上がります。
インドカレー屋でいうところのマンゴープリンみたいなもので相性もとても良く、出てきたら嬉しいし食べたらすっきりした後味を残してくれるのです。

面白いのは”Molecule 2, One Card Production”というプロダクションで、デックフリップからビョコーーンとカードが一枚表向きになるものです。
デックフリップやってるとたまにカードが1枚吹っ飛んでいくことがありますが、その事故を確実に起こすことでプロダクションができるようになってて、事故の起こし方がわかると防ぎ方もわかるので、デックフリップも安定してできるようになるお得な解説になってます。
結構偶然から生まれるようなものもあるのですかね。

“Molecule Spring Production, One Card”はパケットの中にスプリングしていって一枚だけ表向きになるプロダクション。
まずパケット内にスプリングしていく絵面が良い感じにカオスでかっちょよく、表向きになるところの感覚としか言いようがなさそうな雰囲気を解説してくれてます。

FINGER EXERCISES

指のトレーニング方です。
まあだいたいの手品には不要だと思いますし普通の本やDVDに載ってたらスルーするチャプターなんですが、ここまで見てるとこんなんできるかいって動きをびちゃびちゃ浴びてるので、これやったら出来るようになるかな…という淡い夢を抱くことができます。

内容的には指の力を鍛えるのと可動域を増やすことで、フラリッシュやハードな技法やるのにはなんとなく効く気がします。
別にトレーニングしなくても出来ることでも、力がある方が力を抜いてできるようになりますし、柔らかい方が綺麗に見えるというのはイメージしやすいです。
手品は最大的な瞬発力を使うものではありませんが、力入ってないように見せるってのはベースの部分で大事なことだったりするので試してみる価値はあるんじゃないでしょうか。
上手い人が言ってるんだから!というのは何かを学ぶ上で結構なモチベーションになるもので、3巻目の終盤にこれ持ってくるあたりも巧みだと思いました。

Flourishes 101

フラリッシュの基本的な技を解説しています。
シビル、レボリューションカット、シャーリアカットなどのカット系、プレッシャーファンやアンダープレッシャーなどのファン、ドリブルやリボンスプレッドの基礎まで20種類。
そんなんできるわって思っててもこの人らがやるのはやっぱり違います。
基本を疎かにしてはいけないというと老害感出ますが、簡単なことでも極めたら見え方が段違いに良くなるってことがわかりますし、そりゃ上手い人から教えてもらった方がいいのでここの解説は非常に貴重なものです。
なぜかテーブルファローやバックパームも解説されてて、こういうのも上手いのか弱点ねえなっていう気分になれます。

んなわけで、なんとなくオマケ的な位置付けにあるディスクですが内容はかなり濃いものです。
今だとYouTubeとかで覚えちゃえるものもあるかも知れませんが、最初の方って誰が上手いとかよーわからんかったりするのでこれ見とけば間違いないよっていう意味でもおすすめです。
これ見て下手ならそれは単に練習不足。
私です。

Sponsored Link

Comments

No comments yet...

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です