現在INSCRUTABLEはスクリプトマヌーヴァの日本語字幕付きDVDがレッド、ブルー、グリーンと3つ出ていますが、洋盤はレッドとブルーは同一パッケージで、グリーンはINSCRUTABLE2として発売されています。
初期ポケモンみたいなもんですね。
内容はどれも素晴らしく、主にサイコロジカルフォースと原理、たまに鬼スライトを組み合わせてめっちゃ不思議なことが起きます。
メンタル系のカード当ても不思議ですが、2段落ちがあったりビジュアルなプロダクションが入ったり、トータルで見ると愉快な手品って感じがして面白いです。
なんか好きなことを全部やりたくて、それをスタイルに合わせていく感じというか、爽やかスマイルの影響だけでなく好感が持てる感じのマジシャンです。
Rainman
記憶術をテーマにしたカード当て。
シャッフルしてもらって記憶して、枚数目言ってもらってそのカードを当てます。
記憶術を題材にして実際に何枚かはカードを覚えないといけやいやつも多いですが、これはその必要がありません。
ダニだオルティスのあれをもう少し楽にしたようなやつ。
極めてシンプルな解決法で態度勝負なところがあるのはジョセフバリーに共通してます。
2段目はひねりの効いたストップトリックで、記憶術ではなくマジックであるというようなオチが付きます。
1作目にこうなってるってあたりで、だいたい彼のスタイルが見えますね。
ガチではなくあくまでマジック。
Prediction
2つのバージョンで解説されています。
バージョン1はこれ。
手続きは長めですが、選択肢を増やすという演出は非常に参考になります。
あれしてるとこも初見はそこまで気になりませんでした。投げてもらうってのがミソですね。
バージョン2は1では必要なことをなくした代わりに、経験と勇気が試されます。
表向きにしてカード減らすとこがどうも好みではなく、それならバージョン1の方がお手軽という感じ。
フォースは勉強にはなりましたが、このアクトでは使う気になれないですね。
観客が複数いる場合はアウトも楽ではありますけども、予言トリックとしてみた場合はバージョン1の方が完成度高いと思います。
STOCAN
シンプル・ソート・オブ・カード・アット・エニーナンバーの略。
見て覚えてもらっただけのカードが、途中でデックから抜き出した枚数の数のとこから出てきます。
ここで使われるサイコロジカルフォースもなかなか度胸が試されるものですが、フェアさと成功率のバランスは良い方ではないでしょうか。
ただ、同一観客に操作してもらう場合は忘れられる可能性があるのが怖いところ。
仕組みは普通の原理ですが、抜き出すところと戻すところが別なのでちょっと不思議に見えます。
でもこれ抜き出してもらうところから始めてるけど、こういうのって頭の中で数字決めてもらってから抜き出した方が「最初に決めた数字は?」的な言い方ができるので好みです。
Simple math
配りながら3人にストップ言うてもらって、3人がストップかけたとこのカードの数字の合計と、4人目がストップかけた枚数が一致するという手順。
現象的にはあんま好きじゃないですけど、記憶の曖昧さを利用してる感じはとても好み。
俯瞰で見ると一貫して見えるのですが、実際にストップ言う3人にはどう見えるのかはちょっと疑問。
They match
このDVDの中では一番手品手品したカード当て。
何枚かカードを見せて、そこにカードがあるか尋ねます。
そこにはないので別のゾーンからカードを探して当てて、最初に見せた何枚かを見ると選ばれたカードと同じマークのカードだけになってます。
演出が面白く、違和感なくオフビートに入れるので大胆スイッチも有効に使える素敵な手順です。
Thoght of Spread triumph
見て覚えてもらっただけのカードがトライアンフで当たります。
トライアンフは非常にフェアなもので、しっかりと表裏混ぜたところを見せれます。
このDVDの中では一番難易度高くて、たまにできんこともないけど成功率上げるのはかなり時間かかりそう。
トライアンフのあれするところの流れとかもとても参考になりました。
ぶっちゃけトライアンフを見て覚えてもらっただけのカードでやる必要があるかどうかはかなり微妙だと思います。
トライアンフにもリスクがあるのでこの手順には不向きじゃないでしょうか。
個人的にはこのぐらいフェアなトライアンフだと、メモライズ使って言ってもらったカードを出す方が綺麗な気がします。
Hofzinser’s aces
おしゃれなエース出しを含むホフジンザー。
プロダクションパートは表向きセットが必要ですが、ワンアクション増えていいなら全部裏でもいけます。
ホフジンザーとしては非常に良くできています。
ノーフォースかつスイッチ法も適切で、テーブルをいっぱいに使う演出が色んなところに効いていて見た目的にも面白いです。
スイッチの気取られなさに加えてエースの示し方にも特徴があり、直前までそれがエースであったという説得力はかなり高く入れ替わり現象が際立ちます。
ホフジンザーの改案の中でもかなり打点高いんじゃないでしょうか。
Count to aces
4人の観客にシャッフルしてもらったり配ってもらったりして、最終的にカットしたところから4A。
元ネタはチャドロングのシャッフリングレッスンですが、見た目はかなり違う印象を受けます。
観客を4人にしてることで完全なハンズオフを実現していますが、その分「言われた通りにやらされてる」という印象を持たせないのが難しいあたり。
4人にやるとマネージメントにも気を使いますし、間違ったことをやってる人に指摘するとさらに言われた通りにやらされてる感でるのでちょっと厳しい感じあります。
使われてる原理自体は優れてるものなので、ちょっと長く感じてしまったぐらいの話ではありますが。
Think Stop
普通のストップトリックではなく、観客が頭の中でストップと思ったところでカードを止めると観客のカードが出てくるという形。
表向きで配ってるけどこれは裏でやった方が色々と良さげ。
カード聞いてオープンじゃないと周りの観客もちょっとリアクション取り辛いような。
後半は演者が覚えたカードのところでストップしてしまうという変わったオチで、これは面白いです。
これも別に裏向きでできるので、特にマニアにやるなら絶対そうした方がいいと思います。
結構実演と解説に違いがあって、その辺りはジョセフバリーがアドリブでやってるからだと思うのですが、実演の方はあんまりネタパワーが活きてない感じがしました。
Subconscious Poker
ポーカーの手を配り、一つ山を選んで中のカードを覚えてもらい、自由に重ねてもらってデックに戻した後シャッフルして、もう一度配りなおしてその観客のところに選んだカードがきます。他のカードを見るとストレートになってるというオチ。
シャッフルさせた状態から始められフォールスディールも使わず、演出的にもおもろいです。
マニア向きの10人バージョンも解説されてますが、オチも効いてるし5人の方が綺麗に見えました。
わりと文句多めになってしまいましたが、どちらかというと自分がやるとしたらみたいな意見でこの人がやると特に破綻はないです。
よくダニダオルティスと比較される人ですけども、それは使ってる技法とかよりキャラ依存的なところもあると思います。
ダニダオルティスほど癖はありませんが、ジョセフバリーの演技スタイルもそうそう真似できるものではありません。
二人とももニコニコしながらサイコロジカってきて、難しい顔してなくてもできるんだーって元気は出ますが、経験値からくる余裕みたいなものは中々身につかないんで、普通に真似するだけだと原理感は消せないのですね。
トライアンフ、ホフジンザー、レインマン、ゼイマッチあたりはかなり気に入りまして、ラフなボトムディールとかテクニック面で参考になる部分も多いです。
演技スタイルは真似するのは難しくても、観客とのコミュニケーションの取り方など、普通に学ぶべき点はかなりあります。
嫌味なく絡んでそれがフェアさを強調したり指示感をなくしたり、ああいう距離の取り方はやっぱ強いと思いました。
フェアだよね?ランダムだよね?ここまで怪しいところはないよね?とあんなに爽やかに言えるようになりたいものです。
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