by jun | 2021/07/17

2019年に出たPepe Lirrojoのカードマジック作品集。
収録作品の多くはなにかしらのスタックを使っていてそれに関するちょっとした記事なんかも載っています。
トリックは見せ方が面白いやつと原理が面白いやつがぱっこり分かれてて、それぞれもう一声と言いたくなるか逆に全部に見所があるかと思うかは分かれるところかもしんないですけど個人的には好物のジャンルを取り扱ってることもあって楽しめました。
こういう古来からの原理ものは1個でも知らんアイデアがあるだけで当たり。

Entropic Spell, a new way to spell cards

スペリングトリック。
1段目は普通にトップから配って出てきて、もう一度戻してシャッフルして、今度はトップから配るかボトムから配るかを選んでもらい、更に言語も選んでもらうことが可能。
スペイン語、イタリア語、英語、フランス語、ポルトガル語、エスペラント語などに対応しています。
ありがたいことに日本語だとこうという解説もしてくれているのですが、苦慮の痕跡がはっきり見えるアクロバティックな解決をしていて、かなり強引に成立してると言い張る必要がある感じになっていて笑いました。
まあ別に日本語でも英語でもできるということなら工夫すれば出来るのですけども。
使われてる原理はいまいち上手く使える手品が少ないものなのですけど、これはなかなか良いんじゃないかと思います。同じことをもう一度選択肢を与えてやるということが出来るのはおもろいのでこの使い方は覚えておきたい。

Do as i Order

Do as I Do。
シンプルかつ少ない手数で達成するもの。
また、見せ方が面白くてカードを示す時が超かっこいい。
アラカザールの人がやってたあれと同じですね。最近だとGladwinもうまいことやってましたが、もっと古くからこういう見せ方はあるらしいです。

Out of this order

演者が表を見ずに赤と黒を分けるパターンのOOTW。
ここにちょっと現象を足した感じで面白い見せ方になってます。
まあ直接的な手法ではあるので見せ方は難しいし結構負担も高いですが、普通に盛り上がる手順かと。

Homonymous, Homographic, Homonym cards

メイト一致手順。
オチは2つのパケットの完全一致で、ここがちょっと変わってます。
1枚が一致したのを見せたあとに完全に一致してしまうと最初からそうだったのかと思われてしまいますが、パケットの一部かつ観客の選択が効いてくる部分一致なのでなかなかいい塩梅で、半分に分けたパケットにメイトのカードが綺麗に分かれていたの問題も上手く回避できてる気がします。
あとこれネモニカから変形させれる手順で、この手続きは知っておいて損ないです。

Is it a coincidence? Is it a lucky break? Or is it Magic?

1デック3フェイズのメイト一致現象。
全体にスタックの素材の味をそのまんまお楽しみいただきますという感じでこれは原理の面白さはそこまでないです。
この前にスタックの原理特集みたいな記事があったので若干の肩透かしもありつつ、まあ変な原理を使うことが目的ではないしこれだけダイレクトでも3段階手順に出来る例としては良いです。
3段階目の全一致のところはいくつか見せ方を解説していたり工夫は見られるものの、メイトがそれぞれのパケットに分かれていることの謎さは結構残る。これ系のやつで割と思うけど、クライマックス前にシャッフルすればそこも上手く不思議さに出来るんではないかなと。

Simple Spell

ACAANで使われる手法をスペリングトリックに応用したもの。
ハンドリングは悪くないですが、ここまでシャッフルの動きが入るならPしてCした方がスペリングであることの優位性を活かせる気も。

Looking for the sisters

こちらもメイトの手順。
ステイスタックとファローのちょっと変則的な使い方。
原理は変わってて面白いのですが、前半2段は観客の自由度が低く、示し方としてもやや地味というか一致感が弱い気はします。
まあステイスタックなので範囲外のことになったら他のことをすればいいですし、原理的に一番おおってなるのはこれ。

The Strange Triple Coincidence

ホフジンサーの8番目のプロブレム系のトリックです。2枚のカードの数字の合計と枚数が一致する的なやつ。
この手順は更に赤と黒の内訳も一致していたり、裏の色違いカードを使っていたりと現象が足されていて面白い。
まあこれ系の現象と特殊セットでフォースが必要なのは微妙なところではありますし、裏の色違いカードの扱いはちょっと難しかったりと完成度ではそこまでとは思いますが変に魅力のある一作。好き。

Find it

Stay Cardozo stackという色んな特性を持ったスタックの実用例。
現象はコールカードとフォーオブアカインドを探すもので、正直この現象ならメモライズドデックを使えば簡単かつクリーンに出来るので、Stay Cardozo stackでこういう事ができますという感じで紹介されてるに過ぎない感じ。
このスタックの特性自体は色々ミックスされてて強いので、全部の特性を無理に使わずこれをメモライズドデックとしても使えるようにしておけるのが良いんだと思います。
コインシデンス手順でスタック壊していく型なら原理全部乗せでマニアックなルーティンできそう。

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