1965年に出たハリーロレインのカードマジック 作品集。Lyblaly.com版で読みました。
多作な人の手品を読む時、ベストとかフェイバリットとついてる作品集を選んでみようとするのですが、それでさえ80作収録みたいなこともよくあって全部気に入ってるならしゃあないと思いつつそっ閉じをする中で本書は68ページで15作程度とちょうど良い感じです。
実際に本当に本当のフェイバリットかどうかはわからんけど、良い目の作品が選ばれてるようにも思います。
ロレインの中では難しい技法抑えめで、それぞれ演出もしっかりしてるので演じやすいものが多いです。
One-Eyed Jack Sandwich
最初に1枚のカードをサンドイッチしてデックの中に埋めて、後から観客にカードを選んでもらい、サンドイッチしたカードを見ると観客が選んだカードでしたというミステリーカード的な見せ方のサンドイッチ。
この本を選んだのはこれ系の原理のサンドイッチを調べてたからという理由もあり、最近のより技法抑えめでセリフで頑張ってる感じを知れて良かった。
Color Coincidence
観客が選んだ2枚のカード以外の色が変わるという見せ方のカラーチェンジングデック。
なんで2枚かというとサトルティの都合なわけですが、自由度が高いカードの選ばせ方と噛み合っていて割と好きかも。
カードの選ばせ方やアウトについてもじっくり解説があります。
Criss-Cross
フォローザリーダーの手順です。
テクニックではなくセリフとちょっとした誤魔化しでなんとかしてて手品やなあって感じ。
水油でも似たような原理が使われるけど、フォローザリーダーだから通用するセリフになってるのも良い。
Interlaced Location
ファローシャッフルを使ったサンドイッチカード。
2枚当てる手順で2枚目はファローしないのに挟まるやつ。
マイクパワーズとかルイスオテロがこれの改案やってますね。
ファローシャッフルを観客にどう見せるかという演出にとても相応しい現象です。
ファローで枚数目管理する時のコントロール方法も解説されています。
Impromptu Out of this World
シャッフルされたデックで出来るOOTWです。
即興でやるやつの定番パターン。少しテクニックを使っていてこれによってかなり見栄えが良くなっています。
セリフも良いし、真ん中の山の扱いが意外と見たことない見せ方してて面白かった。
Hummer Addition
観客が何枚かのカードをひっくり返してから、デックを見ずに観客の指定した枚数が裏向きになるようにする手順。これにもう一落ち付いてます。
タイトル通りCATOの原理を使ったもので、割と直接的でやってもらう操作もちょっと何かよくわからない感じではある。
パズルみたいな手品も好きという感じで紹介されてるのでまあ。
Aces Only – With Kings
エースを取り出してバラバラに入れてシャッフルするけどスペリングするとそれぞれ出てくる。そっから更にKもスペリングで出せる。
他の手順もそうやけど、即興でのちょっとめんどくさそうなセッティング方法が参考になります。
Toss-In Reverse
簡単に1枚のカードをリバースする方法。
観客から見て似たような動きに見える有名な方法もあるけど、実質手数は少なく見えるはず。
Any Four of a Kind
観客が指定した数字でやる4枚プロダクション。
コールカードでやるための方法と、プロダクションについての考え方が解説されています。
これはセットが必要で、今ならカルテットという最強の方法があるんでさすがに劣りますが、手軽さとのバランスは悪くないです。
このプロットはやっぱり魅力あります。
Lorayne’s Transposition Breakthrough
デュプリケートと最後のスイッチを使う必要がないトランスポジション。
言うほど凄いアイデアだとは思いませんが、2段目の別色のデックを絡めて行うフェイズは手品として普通に面白いです。
Your Choice
A〜3を見せて好きなのを一つ言ってもらい、そのカードが観客のカードに変わるというトリック。バーノンのネタらしい。
トランスポジションで使われてた技法を使っていて、まあハマってはいるし趣はあるけど見た目やや複雑であまり魅力を感じないプロットです。
Pseudo Memory
即興でやる記憶術のデモンストレーション。
観客が覚えたカードの枚数目を当てるもので、覚えてもらう方法もメンタルセレクションっぽくしていてリアリティあります。
これは記憶術風で実際にそれなりに記憶が必要な手品とはなんぞやを考えさせられる手順なのですが、即興で自由度与えるならだいたいこれぐらいのバランスになるのでまあしゃあないです。
別法で解説されてるのもマニアックでよかた。
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