マジックマーケット2019で発売されたレクチャーノート。
A Bubble Circusという京都のマジック団体の皆さんの作品集になっています。
カッコの中の名前は作者ではなく「紹介者」ということになっていて、これは作品はサークル全体で作ったものだからということらしく、なんかそういうのええなあと思いました。
手品において忌憚なく意見言える連れというのは作品のブラッシュアップに大きく貢献してくれますし、実際そういう出来の作品集になっています。
あなたの大嫌いなマーク (万博)
B’Wave的な、4枚の中から1枚を決めてそれがブランクカードになるという手品です。
演出はB’Waveとは違って元からあったものが消えるという風になっており、最初に4枚のマークを示すことができます。
ここのハンドリングがちょっと難しいのですが、1枚ずつ見せる必然性があるのでカウント的な動きは自然です。
あれする時の言葉と現象の見せ方が肝で、ジョシュアジェイのあれとかに考え方は近いでしょうか。
そんなもんに好きも嫌いもねーよという話をどんどんエスカレートさせていく感じが楽しく、言い方次第でバッドエンドっぽくなくせる賢さがあります。
この手のマジックに演じ方の好みはありましょうけども、軽くコミカルに出来るのは個人的にはかなり利点です。
大仰にやりすぎると誘導した印象も与えかねないので意外と加減は結構難しいかもしれません。
あとこれ創作過程が面白くて、こういうアプローチってあんま聞いたことなかったのでこの方向で色々試したくなるような話でした。
仲間内だと定期的に不毛な議論になるようなこともこの方向で考えるとかなり生産的な気がします。
ABC Double (よしお)
Spector Cut The Acesで、Aの下をめくるとKも出てくるバリエーション。
かなり似た考え方でやっていたことがあったので参考になる部分が多かったです。
このやり方なら確かにKのおまけをつけれるというあたりも良いし、演出的にも工夫されてて2段落ちに納得感があってかなりインパクト強いと思います。
パケットのボトムを見るとKがありましたパターンよりかなり工程も減らせるし素敵バランスではないでしょうか。
一箇所マニアのプロブレム解としては物足りないと感じる部分もありますが、変に引っかかりを作るよりこういう遊びがある方が良いのではと思います。
一人で考えてるとどうしても手数は少ない方が良いと思ってしまうので、観客からそういう意見が出たという話も有益ですね。
見せ方次第で不思議さを上げることも十分に可能な方法じゃないでしょうか。
脱法コイン (やみー)
日本円で演じるワイルドコイン。
馴染みの小銭を使うことで演出に効果的なだけでなく、日本円の小ささを活かしたシークエンスがあり、いろんな意味でかなり演じやすくなっています。
使う道具が販売されてる場所も紹介されていてすぐ買いました。
めっちゃリアリティがあってタイトル通り、そんなことやっていいの!?っていう感じが出ます。
複数枚を変化させる演出もちゃんとされていて、どんどんカジュアルに法を犯していくヤバさが出てて良いです。
ワッパー (TERU)
この本の個人的ハイライト。
というかコインマジックの中でもかなり好きな方です。
コインに穴を開ける手品なのですが、演出と道具立てが非常に素晴らしく導入からエンディングまでセリフが完璧に決まっていて、理不尽な設定を納得させる説得力もあるし、コインに変化が起きることに裏表の意味があってめちゃくちゃ綺麗。
最高です。
ちょっとまだ道具を準備できてないのですけど絶対レパートリーにしたいと思っております。
ワンハンド・スピニングカード・フロム・ファン (万博)
おまけの技法として、ワンハンドショットが解説されています。
なんとなく手法のみがマニアックな作品集を想像していたのですが、全ての作品が観客に見せることを想定していて、セリフと演出が手法をカバーするようになっている優れた手品が揃っていました。
めちゃくちゃ面白かったです。
このサークルでもう一つ死ぬほど面白いノートを買ったのですがそれはまた別の機会に。
Comments
No comments yet...