by jun | 2020/12/09

2014年に出たPatrick Redfordのカードマジック本。
ACAAN、OP、記憶術、観客の自由度が高い予言トリックなど、メンタル系の現象中心に収録されています。
Temporarily Out of Orderの方ではスタックをメインに扱っていますが、この本はほとんどが即興で演じられるようになってるのも特徴。
ざっくり結論としてはこの人の演出とかもろもろスタック使ってた方が相性良さそうって感じなんですけども、読むべきところは結構多いので、表題作で挫けないのがコツです。

Applesauce

一応エニエニということらしいですが、まあ言ってカードアットエニーナンバーです。
サブタイトルが”Any Thought of Card at Any Thought of Number”で商品の説明文でもそこ推ししてまして、まあエニーはエニーですけど皆さんが楽しみにしてるようなエニーではないと思います。
自分も結構楽しみにしてたので、夜9時ぐらいにミスドに行ってエンゼルクリームを買って帰ろうとしたら売り切れててやむ無く見た目が似てるカスタードクリームを買って食べた時の残念な感じを思い出しました。
いや、カスタードクリームはカスタードクリームで美味しいですしそっちを食べたい時もあります。この場合のそれは即興で出来ることなのですが代償があまりにも大きくて、なんといっても一通り作業が終わった後で表を見る場面があることですね。面白げな原理を使ってはいるけど、勘の良い人ならだいたいどういうことかわかってしまいそう。
この手の原理を使うものなら、演者は思い浮かべてる枚数もカードも知ることができないというところを強調したいところで、実際に知らなくても現象が起こるところが不思議さに繋がってたりするもんだと思いますが、表見ちゃうとなんぼでもやりようがあるように見えるのですよね。
よくあるエニエニのプレゼンテーションがどうということも書いてましたが、これがそんなに良いものにも思えず。

Horsefeathers

カード覚えてもらってカットしてから、演者がデックを広げて見ずに選ばれたカードと枚数目を当てるトリック。
読んだ時は良い原理だと思ったんですが、手を動かしてみるとこの動きをやるなら別にこの手続きである必要はないのではないかという感じもあり、なんとも言えん感じです。
観客にカットしてもらえるところとそこからのナニがちょっとマニアックでおもろいんですけど、見た目そんなに良くなるかは微妙なところ。
枚数目も当てるという現象自体は好き。

The Evolution of a Rain King

記憶術のデモンストレーション。
1段目はまあよくあるやつです。
カードの置き方にちょっと工夫があり、これは結構良い感じ。
2段目は原理としては似たようなものでも、演出の変化によってよりそれっぽく見える方法で、良い2段階の見せ方だと思いました。
追加オプションがいくつか解説されていて、Vigilのアイデアが含まれていたので満足。記憶術演出に使われて不自然でないアイテムで超チートする方法で面白かった。
余談ですが、この手の何枚かのカードを把握しないといけない手品やる時にネモニカ学習帳めっちゃ役に立ちますね。

Storm

これも記憶術系のトリックで、よりラフにだーーっとカードの並びを言っていくことができます。
演出も手法もとても良いトリックです。
最初に枚数目を当てるところが良いっすね。これと並び当てを組み合わせるとかなり全体を記憶してるように見えます。

Advantageous

観客が自由な位置でストップしたカードを予言する手品。
ダイレクトヒットを設定しつつアウトも準備しておく系のそれ。
予言の仕方に工夫があり、見せ方としても面白くなるし、ちょっとこう良い感じになります。まあ冷静に考えたら2倍不思議に見えるものではないけど、丁寧なセリフ運びで割とインパクトある見せ方になってると思います。
アウトはまあ普通っちゃ普通ですが、使えるアイデアも解説されてます。

Wipe-out

コンセプト的には上のやつと似たような感じ。
こっちはまあまあ良い感じの範囲が広いのですが、まあまあパターンの時になんでそんな予言の仕方をしたのかという意味がよくわからんです。
一応そこんところの工夫みたいなことはされてるんですけど…

Stop Poker Tells

Applesauceと似たような原理を使ったカード当て。
こちらの方が色々と隠蔽されて良い感じがします。
いやでもやっぱりこれならこの方法じゃなくてもという気は否めません。出来るから別に良いんですけど、この手続きならではの良さが見えにくいですね。
たぶん本人は上手いこと見せるんだと思いますが、演技力があれば不思議に見えるというならだいたいそうなってしまいますし、個人的にはもうちょいしっかりした骨格の中で演技力活かせるようなもんの方が好み。

Card Counting

抜かれたカードを当てる方法が色々解説されていて、普通に勉強になります。
後半は観客にカウンティングをやってもらうという方法が解説されていて、試してないけどたぶん上手くいく気がします。手品として面白く見せるのは難しそうですが、ちゃんとプレゼンテーションできれば他にない感触を与えられそう。

The O.P. Spread

OPでやる裏向き1枚をスプレッドで見せるあれ。
準備いらず、余計な動きいらず、事故リスク軽減と良いことが多いです。
逆に余白がなさすぎて、じゃあさっさとそのカード見せなさいよってなりそうな気もしないではないですが、まあこういうのはシンプルな方がそれっぽいセリフも説得力出るはず。

Standing Prediction

テーブルを使わないOP。
テーブルがないからこそそういう動きをすることに意味があるようなもので、難しいけどおもろい動きだと思いました。
しかしまあクリーンさはないので、OPに不向きな技法だとも思います。

Fishing for One

メンタルセレクションのカード当てです。
Fishingというタイトルですけど、いわゆる釣りをしましょうという感じではなく、良い感じの演出で上手いこと確信に近付いていけます。
この演出自体はRedfordの他の作品にも出てくるもので、それ自体がドキッとするような感じで面白いんですが、この手品ではその利点を最大限に活かしていてとても巧妙でした。

他、テクニックがいくつか解説されています。
手順の中で使われる技法や原理の多くはTemporarily Out of Orderでも解説されていて、今買えるみたいなのでどっちかというとそっちがおすすめです。
似たような現象を扱ってはいるので即興とのバランスの違いは読み比べても面白いですし、手順も3つ良いのがあって見せ方の参考になるとこもあるんで買えるうちに買っといた方が良い本だとは思います。

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