2012年に出たピーターダフィのカードマジック作品集。
Lybrary.comに電子版があります。
12作品解説されてまして、良くも悪くもピーターダフィを読んでる感じがする一冊です。
Auto Hue
まず表は見せずに何枚かのカードをデックから抜き出し、2つの山に分けてどちらか片方を選んでもらい、選んでもらった方の1番上を表向きにしてパケットを積み直す。また同じことを別の観客にやって、2枚のカードが逆向きになった状態で表向きにすると赤と黒に分かれていて、赤の中にある裏向きが黒いカード、黒の中にある裏向きが赤いカードになってます。
いきなりピーターダフィらしいやつが来てしまいました。
なるはなるし楽しい気もするけどなんとも言えない系の。いや、一応操作は観客にやってもらえるしシャッフルできる部分もあるので不思議は不思議だと思いますけども、どう見せれば観客を困惑させずに済むでしょうか。
シャッフルとかさせずに、赤の中から黒、黒の中から赤を選んだんですよという見せ方ならちょっとわかりやすい気もしますが、それだとちょっと理屈も合わんし難しいところです。
Not Wrong
ハートのA、2、3と順番にカットして出現させて、次にスペードAが出てしまいますが、すでに出したパケットをひっくり返すとスペードの4、3、2になって失敗じゃなかったセーーフみたいな手品です。
これはセットも簡単だし現象もわかりやすいです。
Aと絵札でやっても綺麗にいきます。
Stretch & Catch
1枚のジョーカーが伸びたり縮んだりして、サンドイッチカードに繋がります。
伸びるところのハンドリングは割と良く、無理にサンドイッチカードにせずに小ネタで十分な気がします。
これ系の流れだとFenikのやつが良い感じにやってたような。
結局2枚あるところを見せちゃうわけですから、何かしら2枚に増える演出が必要にはなってきそうです。
Ace Cutter
4枚のエース出し。
トップ4枚表向き要らずでできて便利。
テンポ良くなかなか気持ち良いです。
ぽん、ぽん、ぽん、しゅっみたいな感じで、一瞬サカー風味があってからリズム良く出せます。
どうせテーブル使うなら、しゅっ、じゃなくてパタパタのほうがディスプレイ的には綺麗になりそう。
Flash Triumph
シャッフルしないトライアンフ現象と言いましょうか、表と裏の塊が2つあってビジュアルに全部表になるような感じです。
割と見たまんまということになりかねないと言いましょうか、さすがにもうちょっと工夫はほしいところではあります。
Careless Whispers
4枚の絵札の中に裏向きでセレクトカードを入れると消えて、演者はカードを言い当てることができ、その後赤と黒の絵札の入れ替わり現象が起き、セレクトカードも出現して大団円。
こういう状態だからこういう現象に繋げられる!みたいなのってピーターダフィの特徴で、これは良くいうとエコですが比較的貧乏臭い感じで脈絡もなくて辛いです。
普通に当てて出して終わりだと隠してただけという感じになりそうという気持ちもわかりますが、この終わり方はこの終わり方でだらだらしすぎな気がします。
個人的にあらゆるエンターテインメントの中で一番かっこいいエンディングだと思ってるのが愛川欽也さんがやってたキンキンのサンデーラジオの最終回で、2月の時点で3月末打ち切りを告げられたキンキンがその終了理由に納得できず、2月の中途半端な時期に「この気持ちであと数回お通夜のような放送はできないので今日が最終回です」と言って、特に怒ったような感じでもなくいつも通りの放送をして終わってました。
例え続けることができる状態だったとしてもベストなタイミングで終わるってのは良いもんですね。
Scopic
観客にカードを選んでもらいデックに戻し、ジョーカーがパケット内で表向きにしたA、2、3と変化するユニバーサルカード的な現象の後、ジョーカーの裏を見ると選ばれたカードの名前が書かれていたのです!
確かにユニバーサルカードのとこはオチに乏しい気はしますけど、無理矢理カード選ばせる必要があるのかどうかも疑問なところ。
裏を見せずに進められるならもうちょっとジェネラルカードの演出を活かした見せ方も出来るとは思うのですが。
Task Force / Task Force Finders
フォース方法とそれを使った手順の解説。
フォースはイロジカル系の方法で、演者も表を見ることになりますが、裏の色を隠したいときには結構良いかもしれません。
手嶋はセレクトカードをスペリングすると何かのフォーオブアカインドを出せるというもので、特にこのフォースを有効活用してるものではなかったです。
Auto Sandwich
サンドイッチしていた観客のカードがメッセージカードに変化して、その通りの場所から出てくる手品。
少しイロジカルながらそこまで気にならないスイッチが使われており、現象自体もサンドイッチカードのオチには良いものだと思います。
Basement Jaxx
4枚の絵札をボトムに置いてから、3枚のセレクトカードをデックのトップに表向きに載せ、ビャッてやると消えて絵札の間にコレクターされてるという手順。
コレクターというよりデモンストレーション的な移動現象という印象が強いです。
Illusioneerにこれっぽいアプローチのコレクターがあってちょっと気になっていたので参考になりました。
Phantom Stab II
2枚のカードを選んでもらい、演者はポケットから見えないカードを取り出しデックの中に差し込むと、そのカードの両隣がセレクトカードになってます。
ほとんどの操作を観客にやってもらえて、工夫もあってコントロール感も少なくて見えないカードの演出も良い感じです。
ただ、裏向きにカードが現れて、特にそのカードがどうということなく終わるので、気になるっちゃ気になります。
演出上どうとでも処理できるのでなんらかのフォローは要りそう。
Double Agents
セレクトカード2枚で、赤い絵札が1枚目を、黒い絵札が2枚目をサンドイッチし、再び絵札を広げるとカードが消えていて、別の出現をするという手順。
サンドイッチからの消失のパートがとても面白いです。
ちょっと不自然なコントロールをする必要がありますが、このおかげで気持ち良い感じにサンドイッチできるようになります。
最後の出現パートはちょっとどうしたもんかという状態になるので難しいところですが、消えっぱなしも気持ち悪いので悩ましいところ。
文脈無視した出し方するなら消えっぱなしの方がましというか、キンキンだったら普通に消えましたジャーンで終わらせるんじゃないでしょうか。
そこまでキンキンを絶対視して手品を考えるのが正しいかどうかという問題はありますが。
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