by jun | 2020/12/03

2013年のガスタフェローのノート。
カードマジック中心に11トリック解説されてます。
ガスタフェローの作品は観客体感型のがほとんどですが、この本はそういう意味での良いとこが特によく出た一冊です。
観客の手の中で現象起きたり観客の操作によってなんかなったりする見せ方が超上手い。
めっちゃ良いノートなんですけど意外と映像化率が低いので狙い目。

Discoveries and Deceptions Ebook – Vanishing Inc.

BLACKJACK TRANSPO

シンプルなトランスポジション。
位置関係をはっきりさせるのに音を使う。うめー。
しかしこの界隈ほんとにここで使われてる技法好きですね。

M.I.T. ACES

観客のカードを出そうとするも次々とAが出てきてしまい、観客のカードは真ん中でひっくり帰ってるはずということで見てみると4枚のAがひっくり返っていて、Aだと思われてたカードを見ると観客のカード1枚に変わっている。
とても愉快でオチも良いので気に入ってる手順です。
4枚が1枚になるあれをするハンドリングがめっちゃ良いので是非に。

BOOK OF CLUES

3枚のカードをヒントにカードを当てるやつなのですが、このヒントを出すところを観客にやってもらうことでとても面白いことになってます。
観客に選んでもらうところはバノンのDirected Vertictが使われているんですけど、このBOOK OF CLUESはSpectator Cut the Acesの見せ方としても新しく、2段落ちの現象としてちゃんと機能しており意外かつ観客パワーが際立って独特の味わいがあります。

HERE, THERE & IN MY POCKET

ディングルのRegal Royal FlushとかカーニーのInscrutable的な、同じカードが何枚も出てきたように見えるやつと、変則的なミステリーカードの組み合わせ。
ガスタフェローはこの前にもMR. E. TAKES A STROLL、MR.E Returnsとミステリーカードのプロットをやっていましたが、ここにEverywhere Nowhereと4to1のキックバックまでくっついて不条理祭りを開催しつつもフェーズごとに現象は整理されていてゆっくり現象を確認しながら演じることができます。

X-FACTOR

透視演出のカード当て。
覚えてもらったカードを透視するための演出におまけもくっつけていてとても説得力があります。
使う技法は古典的なものの組み合わせでありつつ、しっかり見せれるプレゼンテーションを教えてくれるのはありがたい。
透視とか心を読むとかは演技力も大事だけど現象としてそうとしか思えないのも重要で、それでいてガチっぽくなりすぎないお手軽さもこの手順にはあってとても演じやすいです。

STOCK EXCHANGE

2人の観客にカードを覚えてもらってお互いのパケットのカードを交換しつつ裏表に混ぜる。何故か選ばれたカードが一番上にあって向きも揃い、更に赤と黒に分離しています。

古典原理の応用で、裏表に混ぜること、カードを交換することがどちらも現象としてリンクするので謎作業感が薄れてて好き。

MATCH GAME

上のやつと同じテクニックを使ったA出し。
これは元の使用法に近いものですが、後半の2枚がパケットを入れ替えることでAに変化するというピーターダフィのあれなので良い感じに繋がってます。
Harapan本でもあったけど、あの入れ変えるやつ本当不思議で気持ちいいですね。
このやり方はめっちゃうまくそれを活かせると思います。

DALEY PREWUEL

ラストトリックのバリエーションです。
シンプルに1枚ずつのトランスポジションになっていて、見せてないカードがそのカードであることを説明するのが本当にお上手。
ラストトリックの演じ方について触れられておりこれがまた愉快なものになってます。

MULTI-MENTAL

メンタルで当ててそのカードをプロダクションとかポケットの中からとか出すマルチプルセレクション。
ガスタフェローは欲張りで足せるところがあったらどんどん現象を追加していく人で、その隙間の埋め方がいつも巧みです。
この作品だと出す前に当てたら2回盛り上がるやんて感じなんですけど、観客が喋らなくて良いとか、出して示すところで拍手もらえて終始自分のリズムで演じることができるとか演じる上でのメリットも多いです。
カードの表を見て探す場面がないので当てるところのメンタル的な不思議さは普通にあるし、舞台映えする派手さもあって、なかなか難しい両立をやってます。
en routeで4枚のミニバージョンも発表されましたが本作は7枚当てます。若干長いですけどそれでも飽きさせない構成はさすがです。
まあ正直一番面白いのは2枚目3枚目ののとこなんで、どっちかと言われたらミニバージョンを選びます。

iCONTACT

観客のiPhoneの連絡先の中から観客と演者が同じ人を思い浮かべるという手品。
今のiPhoneでもできるけど、技法というか何というか、それがちょっと難しいです。
連絡先を見せるのに抵抗ある人も多いと思いますが、この技法使えばブックテスト的なことも出来んことはないと思います。

ZEN BEND

ストローが曲がります。
結構色んなところで解説されてるのでお気に入りのご様子。
ちょっと準備はいるんですけど変な曲がり方するので楽しいです。

MORE DISCOVERIES

こういう手品ではこうするともっと盛れるよみたいな話が3つ載ってます。
こういうアイデア山ほど持ってそう。そのアイデア集みたいなので一冊にしてくれないでしょうか。

しかしまあ面白い本ですよ。
前書きで「魅力的なプレゼンテーションと優美なハンドリングと賢い手法で楽しくて記憶に残る体験を創ることをロードマップとしています!」と、そんなこと出来たら苦労せんわというような事が書かれていて、実際にそういう手品が載ってる本。

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