by jun | 2018/09/05

Vanishingから出たガスタフェローのDVDで、最近のレクチャーノートから厳選された14個のマジックが解説されています。
本読んで知ってたものも多いですが映像で見たかったものもあって、発表時から若干の変更が加えられていたり、安定のハイクォリティでめちゃくちゃ面白かったです。

Lost and Found

透明のカードケースと2枚のジョーカーを使った消失&出現現象。
消えてデックの中から表向きに、だけなら透明のカードケースは要らないかもしれませんが、これがあることによって説得力増す部分もあって、ビジュアル的にも楽しいものがあります。

あと、ラストの出現パートでお客さんにカード持ってもらってやっていて、これがめちゃくちゃ見栄えよくて素敵でした。
しかしこれ自分で持っても結構難しいんですが、良い感じのケースだと良い感じになるんでしょうか。

Gemini Squared

ジェミニツインズの4枚版を名刺でやります。
4枚だから綺麗にエース出るのかと思いきや違うカードで、それが名刺の裏に予言されていてその後超気の利いたオチもついてて最高です。

Ballet Cut

最近のガスタフェローお気に入りのフォールスカット。
あまり嫌味なくかっこいい感じで、プロダクションにも使えます。
慣れると安定して使えるので手遊び風に何かしてる風を装いたい時にちょうど良いですね。

Zen Bend & Ring on Straw

指で持ってるだけのストローがぐにゃっと曲がります。
そこからストローと指輪を使った手順に。

ノーギミックのストローが曲がるとこも超不思議ですが、この指輪とストロー使ったやつめっちゃ好きです。
指輪とストローだからこそできることで、古典原理の組み合わせでインパクトある現象に仕上がっています。
あとガスタフェローさんトスバニッシュめっちゃうめえ。

Assembly Line

観客4人にステージに上がってもらい、それぞれにパケットを渡し、キングを1枚ずつ中に戻します。
そこからキングが1枚ずつ消えてひとりのパケットに全部集まります。

こんなにわくわくして楽しいアセンブリが他にあるでしょうかね。
別にみんなが知らない原理使ってるわけでもないし誰も出来ない技法駆使してるとかでもなく、現象も昔からあほみたいな数バリエーションあるものですよ。
発想力と細部へのこだわりが傑作になる好例で、ガスタフェローらしさ全開です。

Multi-Mental

8人にカードを覚えてもらってそれを1枚ずつプロダクションしていきます。
ポイントはプロダクションする前にカードを言い当てるところで、ワンアヘッドでカードを特定するところがまあ賢いです。
このルーティンは色んなバリエーションでカードが出たり、最後はデックバニッシュまでいくのでその状態への準備もしなきゃならんのですけど、その過程で順番にカードを言い当てられるようにもするっていう頭が良すぎな手順。

この後Mini Mentalというカード4枚版も発表されていて、そのぐらいの枚数がちょうどいいかなと思ってたんですが映像見ると8枚でも全く間延びしないしどうでもよくならないですね。

Invisible Opener

見えない輪ゴムと見えないコインと見えないデックを具現化させます。
なんと見えないデックは具現化前に観客が指定したカードが裏向きになってます。なんと。

これも素晴らしいですね。
視線誘導させる体の使い方とか超うまいし、それを自然にできるような構成です。

その後輪ゴムでクレイジーやったりしてて、お客さんに持たせるバージョンのあのサトルティとか知らなかったのでそこも面白かったし、オープナーってかこれだけでいいんじゃないって思いました。

GPS

カードを選んでもらってサインしてもらいます。
色違いのGPSカードを好きな場所に差し込んでもらい、その両隣のカードのマークと数字を合わせてカードを当てますが、色違いカードがサインカードに変化するオチ付き。

ほぼセルフワーキングで不条理な現象をクレバーに解決しています。
変化するカードは一旦歓喜の視点から消えるわけですが、GPSカードという興味を引く設定で、元から置いてあったカードがサインカードに変わったように見せる見事すぎる構成。

Biddless

ビドルムーブを使わないビドルトリック。
これは本で読んだ時はダイレクトすぎてちょっとって思ってたけど本人が演じてるの見るとそうでもないかもと思いました。
ビドルムーブより後から逆算されやすいのは確かですが、消す前の謎に説得力ある動きのおかげでなんとかなってます。

Ace Case

4枚のエースが1枚ずつカードケースに飛んでいきます。
ガスタフェローがカードケースを使ったらだいたい良いことにしかなりませんが、その中でも最高峰です。
連続するカードなんとかボックス手順の中でも難易度は低い方で、現象を足しつつ箱の中が空であることを示す賢すぎる演出。
なんでこんなこと思いつくんでしょうマジスーパー最高です。

Intro-Verted

4枚のエースをデックに戻し、それを1枚ずつ出していきます。
表向きに出てくる→全部表向きになって裏が1枚→サンドイッチ→お客さんの手の上という一番盛り上がる構成です。
当然無駄な動きがないようにうまいこと準備が分散されていて、始まる前にだいたい終わってます。
特にフルデックリバースの前が超素敵ですね。

このDVDの中ではテクニカルな部類ですがガスタフェローさん一つ一つの技法のクウォリティもお高い。

Homage to Homing

4枚のエースと選ばれたカードで行うカードトゥポケット。
パケットで行うことで消失に説得力を与えて、今移動しました感が強まっています。
さらに抜かりないのが最初のカード当てのパートで、もうコンビンシングの鬼です。
比較的低負担でできる4to1キックバック落ちもあるし、これもマジ最高ですね。
三枚目の消し方とかもめっちゃクール。
カウントの正しい使い方をしてる手品だと思います。

Little White Lies

4枚のクイーンを観客に渡し、テーブルの下で1枚表向きにしてもらいます。
そのカードが予言されていて、次の瞬間に全部ブランクカードに。
予言を見ると予言も白紙になっています。

たぶん収録されてるマジックの中で一番マニアが見ても不思議なやつ。
知ってても不思議でした。
演出の面白さは当然っつー感じですけど、その現象やるのに使う手法もめちゃくちゃクール。

Flip Side

カードアットエニーナンバー。
そんなこともできんのかよって感じですが、これもめちゃくちゃ賢くダーティーな部分がうまーくカバーされています。
現象的にはカードが消えて言われた枚数目から反対向きに出てくるというものですが、消失を入れることでやばい部分のやばさが減少しててその発想がやばいです。
そこらへんにある足し算思考の盛り盛り手品あたりとは違って、何かを足すのは何かを減らせる時だけって考え方は本当素敵ですね。

んなわけで、見てるだけで賢くなった気になれるDVDですが、根っこの考え方を学べばたぶんちょっとは賢くなれます。
全部がベスト級ですけども、Ace Case、Flip Side、Assembly Line あたりが特にお気に入り。

本ではピンと来なかったものもやはりガスタフェローが演じてるの見るとやりたくなりますね。
日本一信頼できる手品本翻訳者の富山達也さんがガスタフェローの3つのレクチャーノートを日本語にした「Three of a Kind」は手品サボってる間に発売されて売り切れて泣いていたので、その中に収録されてるトリックも見れてよかったです。

しかしガスタフェローはここ数年で傑作級をこれだけ産みだせるのですから本当に凄い人ですね。
次から次へとわけわからん手品が売り出されフォローするのもめんどくさい昨今ですが、ガスタフェローはリアルタイムで作品追っかける意味のあるマジシャンの一人です。
売ってるガスタフェロー作品全部持ってるからわけわからんのに行ってしまうわけですけども。

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