by jun | 2018/08/08

松田道弘さんはカードマジックの作品集を9冊出されていて、順に、松田道弘のカードマジック、松田道弘のクロースアップカードマジック、松田道弘のマニアックカードマジック、現代カードマジックのアイディア、現代カードマジックのテクニック、魅惑のトリックカードマジック、松田道弘のオリジナルカードマジック 、松田道弘のシックなカードマジック、カードマジック THE WAY OF THINKINGと発表されてきました。


松田さんの本の特徴としてクラシックプロットの改案を繰り返しブラッシュアップしていくというのがあって、エースアセンブリ、カニバルカード、オイルアンドウォーター、ツイスト、トライアンフ、コレクター、このあたりは特によく出てきます。
手法は非常にマニアックなこともあり、単純に後の作品集で解説されてるものが個人的な好みと合うというわけではありません。
最近これらの作品集を全部読み直したので、記憶が薄れないうちに各プロットごとに個人的なベスト作品をまとめておこうと思います。

エースアセンブリ

松田道弘さんの永遠のテーマである4枚のエースの移動現象。
初作品集の松田道弘のカードマジックにはエースアセンブリが11作解説されていて、その後の作品集でも毎回複数のエースアセンブリが出てくるのでこれだけで30作以上あります。
スローモーションとかマクドナルドとか手法や現象の種類によって色々あるんですけども、とりあえずレギュラーでできるのとギミック使うものの2つ選びます。

まずレギュラーですが、「私案トッピング・ジ・エーセス(松田道弘のカードマジック)」「ニュー・マーロー・コリンズ・エース(マニアック)」「ジャンピング・ビーン・エーセス(アイディア)」「私案スローモーション・フォア・エース(クロースアップ)」あたりが候補。
私案スローモーション・フォア・エース以外はいわゆるフォーメーションして3枚ずつ置いてという形ではありませんがシンプルで良いです。
ジャンピング・ビーン・エーセスは好きなんですけど大半がマックスメイビンのアイデアだったりするのでここで選ぶのもどうかと思い、「私案スローモーション・フォア・エース(クロースアップ)」をベストにしたいと思います。
スローモーションエーセス現象をパームなしで解決していて、多少枚数があれに見えるとこもあったりするんですが、手つき的なごたごたもオペックカウントもないのでこれって感じです。

ギミック使うバージョンだと「プログレッシブ・クイーンの最終版(魅惑)」を推します。
スローモーションではなく、隣に1枚ずつクイーンが移動していくバージョンなんですけど、パケットを接近させず消失も出現もギミックパワーでほぼ完璧に解決してるんじゃないでしょうか。

カニバルカード

カニバルカードも全部の本に登場します。
後半の本ではギミックによる解決がメインになってきて、「オーバーラップ・カニバル(シック)」あたりはかなり綺麗に3枚消せますが、このプロットをわざわざパケットトリックとして演じたいかというとかなり微妙なところがあって、レギュラーだけでどうにかしたいものです。

そうなると数はそんなに多くなくて、中でも一番すっきりしてるのは「カニバル・カード(クロースアップ)」ではないでしょうか。
確実に4枚のKを見せてから食べていくので説得力高いですし、ラスト1枚は食べてからさっと広げられて、ゴミ処理も考えられてるので正しく改案だと思います。

「レインボウ・カニバル完成版(WAY)」は裏の色が3種類のカードを消していく手順で、松田流カニバルカード総決算的な作品であるので次点ぐらいには入れたいところ。

オイルアンドウォーター

全部の本に載ってるわけではありませんが登場率高いです。

松田さんの水油は全作品4・4で、大半の作品がエキストラかギミックを使います。
結構似たような構成の作品も多いのですが、「マーロー/アスカニオのオイル・アンド・ウォーター(WAY)」がベスト。
2段階のシンプルな手順で観客参加型。2段目はバラバラ見せてから広げると分かれてるって感じでとても良いです。

次点は唯一のノーノー水油である「OIL and WATER 4枚/4枚のストリクト・バージョン(オリジナル)」。
1段階だけなのでさすがに物足りなさは感じるものの、適当にどっかに組み込めるし覚えておいて損はない手順です。

アンチオチがお好きな方は「オイル・アンド・ウォーターの迷路(松田道弘のカードマジック )」あたりがおすすめ。
水油はどれも甲乙つけがたい感じですね。

コレクター

途中ワイルドすぎる解決とかもありましたが、比較的順当に進化していってるのがコレクターです。
ノーギミックで行うものはだいたい似たような手法なんですけど、「デュプリケート・コレクター(WAY)」が一番。
これは「コレクター(クロースアップ)」のエンドクリーン版で、デュプリケート1枚入れることで色々とすっきりしました。
テーブルに置いてある4枚のエースを重ねた瞬間に挟まるパターンで、コレクターの中では好きなアプローチです。

変わり種だと4枚の裏色違いのカードで挟む「テクニカラー・コレクター(アイディア」も面白い構成になってます。

ツイスト系

パケットトリックでカードがひっくり返るパターンのツイスト手品。
現代カードマジックのテクニック以降は、ツイスト後に裏の色が変化したり別のカードに変わったりするテーマが増えましたが、ツイスティングエーセスの良質な改案である「私案ツイスティング・ジ・エーセス(アイディア)」がベストです。
特に最初に2枚あれするとこの見せ方が好きで、3枚あれしてスペードがどうでというあれをしなくてよくなってます。
原案にある途中でひっくり返すとこもないパターンで、カウント複数使わないといけない以外は完全に好みに合う作品です。

トライアンフ

Aオープナーやギャンブリング手順に組み込んだりしていますが、いわゆるトライアンフ作品は実はそんなに多くないです。
カードを選ばせずに表裏混ぜて戻る「もうひとつのトライアンフニュー・リバース・カード・ミステリー」も厳密にはトライアンフではありませんが、1枚表にすると全部表になる→表裏混ぜても全部表になる、という構成があっさりしてて好みです。

普通のトライアンフだと「私案トライアンフ(クロースアップ)」がベスト。
大枠の手法は今では珍しくないものですが、サトルティの部分の工夫が好み。
スタンディングでもできてフォールスシャッフルしなくていいのでポイント高いです。

次点はカード2枚選ばせて、かなり強い表裏感を出せる「Two Card Peek Reverce(シック)」あたり。

その他

頻出するテーマ以外で好きなものをいくつか。
まず、ビジターの改案である「ダイエットビジター(シック)」はかなり好きです。
原案のパケット間の移動ではなく、デックの中の赤のクイーンの間とテーブルの上にある黒のクイーンの間での移動で、原案の最大の問題であるラストのパケット接近をなくしています。
ギミックカードを1枚使用しますが、ビジターの改案多くてもここを解決したものは少なかったりするので、かなり好みに合いました。

「サインド・カードのパケット・トリック仕立て(魅惑)」は4枚のQと2枚の関係ないカードで行うサインドカードで、パケットトリックあんま好きじゃないけどこれは良いと思いました。
まず、パケットトリックにしたことでサインさせるのが気軽になります。
デックからカード抜けたりたしたりするのめんどくさいので演じやすくなったのは大きなプラスですし、使うカードの枚数が少ないのでカードの位置関係やミステリーカードの存在などを示しやすくなってるのも好印象。

ちょこちょこ出てくるリセットでは「リセット・リセットの改案(クロースアップ)」がお気に入りです。
これは4枚のエースと4枚の絵札からスタートしないリセットで、エースが絵札に変わってまた戻るだけ。
いわゆる4・2なのですが、構成上置いたパケットとの枚数差を気にしなくていいですし、カウントしなくていいのもありがたいです。

まとめると

「私案スローモーション・フォア・エース(クロースアップ)」

「プログレッシブ・クイーンの最終版(魅惑)」

「カニバル・カード(クロースアップ)」

「マーロー/アスカニオのオイル・アンド・ウォーター(WAY)」

「デュプリケート・コレクター(WAY)」

「私案ツイスティング・ジ・エーセス(アイディア)」

「私案トライアンフ(クロースアップ)」

「ダイエットビジター(シック)」

「サインド・カードのパケット・トリック仕立て(魅惑)」

「リセット・リセットの改案(クロースアップ)」

以上がマイベストオブ松田道弘カードマジックになります。
ちょうど10作になりました。
どれも原案の問題点をカバーして、それによって生じる新たな問題も少なめではないでしょうか。

本単位でいうと松田道弘のシックなカードマジックが一番好きです。
3冊持っていって良いって言われたら松田道弘のクロースアップカードマジックと現代カードマジックのアイディアを追加します。
松田さんの本は文章がおもろいのでそういう意味ではどれも無人島にはおすすめです。

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