by jun | 2019/02/08

ダニダオルティス気分が高まっているにしてもさすがに読み返す必要はないかなと思いましたが、よく名前出してるし最新DVDのHere & NowでもMoe関連作があったので。
言うてもLybraryに電子版があるこれぐらいしか普通に読めるのないし、なんかこの本も色々と問題があるようで、そこらへんの経緯的な話やMoeについては緑の蔵書票さんで詳しく書かれているのでこちらを参考にしてください。

緑の蔵書票: “Moe’s Miracles” Dodson(?)


要はMoeさん自身は別に世に出す気は無かった本みたいです。というかそういう本だと知らずに読むとブチ切れると思います。
内容は11種類のカード当てで、各トリック数行ずつ書かれてて一応1トリック1ページで11ページありますがリチャードカウフマンが書いたら見開きで済むぐらいの分量しかありません。納得できるのはその半分ぐらい。

経緯を察して秘蔵のメモをありがたがるような読み方が正しい態度なのでしょうけども、電子化されてるおかげで秘伝のタレ感は消滅してどっかのマニアの与太話ブログを読んでいる気になってきます。
まあ手品買う身として与太話慣れしすぎてるってのもありますし、読むべきところが全くないわけでもなくコンセプトとしては面白いです。
この本で扱われてるのはレギュラーのシャッフルされたデックを使うものだし、実現さえできればマニアが見ても不可能性の高いカード当てができるのでそういうものを目指してる人は読む価値あると思います。

手法はかなりリスキーな物が多く、ある程度経験でなんとかなりそうなものもあれば、ちゃんとやり方書いてない妄想っぽいのもありました。
Moeさんはカードマジック入門事典にMorris Seidensteinという名前で作品が紹介されてて、”Look at A Card”(落ちていたカード)というその作品にも片鱗はあります。
それは絶対に入門者に勧める手品ではないにしても一応なんとか出来る範囲のものではあり、入門事典によるとこのトリックだけを解説した冊子があるらしいんで商品にするものは誰でも演じれる仕様にしてたのですかね。

それと同じタイトルの”The ‘Moe’ Look At A Card Trick”てのがMiraclesの方にも載っていますが、解説されてるのはちょっと違う方法。
それでもこの本の中ではちゃんと解説されててまだ練習でどうにかなりそうな部類です。

“Moe’s Location While The Back Is Turned”は演者が後ろ向きの状態で覚えてもらったカードを特定する方法で観客の操作も配るだけでシンプル。
ご本人がどれぐらいの感じでやってたかは知りませんけどセーフティにもいけるし意外とギリギリ攻めれる気もします。
応用例もなんぼでもありそうです。

なんとかなりそうというかダニダオルティスがかなりアリ寄りにしたのが”Moe’s Spread Trick”で、頑張ってシャッフルデックをスタックのようにしてしまう方法。
ダニダオルティスはこれを基に独自のタッチと強引さで色んな現象作ってて、なかなか真似できるもんではないにしても即興や少しの準備で大きな効果を達成しています。
Moeさんがここで書いてるのはハードなカード当てだけですが、記憶術系の演技ぐらいは考えてたのではないですかね。

みんな大好き見て覚えてもらうだけのカード当て、”Moe’s Fifteen Card Trick”は15枚の中から5人の観客にそれぞれ頭の中でカードを覚えてもらってそれを全部当ててしまいます。どうです凄いでしょう。
解説はもっと凄くてマジミラクル頼りでビビります。
いやでも15枚の中から5人になんてやり方からして何かしらのアウトが考えられてるはずなんですけどね。
そういうの考える話の種としては面白いかもしれません。

アウトでいうと保険としての”Another More Mental Force”というのが解説されてますが、これはこれで別の技能が必要できつい。

他のも取り入れるのは難しさがあって、安全にやろうとすればスタックとの組み合わせとかカードの選ばせ方に自由度をなくす方向になりますが、そしたら割と普通の手順になってつまらなそう。

そういう意味でダニダオルティスがHere & Nowでやってたエスティメーション絡みのネタはおもろかったですね。
だいたい合ってればよくて後は技法や他の原理でカバー、カオスな演出との相性の良さも見せていました。
無難になりすぎずフェアな印象を強めつつ安定させているというか。

Moe’s Miracles自体は滅茶苦茶だしおすすめし辛い本ではあるのですが、カード当ての行き着く先ってこういうのじゃないかなと思うところもあります。
カードになんか埋め込むかめっちゃ頭と勘使うかのどっちかみたいな。
他の人でもリスクあって不確実なやつだとあんまり発表されないでしょうし発表されても読んだらたぶんムカつくし、それならこれ読んでムカつけばいいのかなと思います。

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