by jun | 2018/10/23

どうやってマジックのアイデアを生み出すのかという内容の本で、”YOUR HOW-TO GUIDE TO CREATING MAGIC + 100 IDEAS TO GET YOU STARTED”というサブタイトル通り、その方法と100個のアイデア例が書かれています。


本はポケットサイズで、文庫よりちっこくてしあわせの書と同じぐらいの分厚さ。

著者のRory Adamsはこの本書いた時点では22歳の青年で、過去にこんなDVDを出してる人です。

日用品使いやビジュアルへのこだわりなど、ダニエルガルシアっぽさがありますね。ガルシアよりはもう少し手段にこだわらないイメージ。
チャドロングが口からスパゲティ出してるところを思い出すような、と言うのは最大級の褒め言葉ですが、そんなことも言いたくなるぐらい現象自体が新しくて面白い人です。
彼は前にInstagramでマジック動画をアップし続けたのも話題になりましたけども、そういう人から「君にも出来る!」と言われてちょっとだけそんな気になれるような本でした。

最初の数ページは割と当たり前というか、よくビジネス書とかでも見るような話で、くどくどと説明するような事はなく言いたいことは全部短い文章で端的にまとめられています。
このあたりはポケットサイズの本であることのメリットで、当たり前のことは要点だけ言ってもらった方が素直に聞けて良いです。
ちゃんと目的考えてやれってあたりは当たり前のことでも手品になると特に興味のないプロブレムに取り組みがちだったりするので、そのパートはちょっと例を出されるだけで視野が広がる感覚がありました。

徐々にマジックに特化した内容になっていって、まっさらな状態からの発想法はそれだけだと信じられないものもありますが、100個のアイデアを読むとなるほどそういうことかと納得できる仕組みです。
例えばたまに聞く「マジック以外のものからインスピレーションを受けましょう」というあれも、確かに既存のマジックからは出てきそうにない発想を見せられると腑に落ち度は高いです。
もう少し具体的にこれは何から着想しましたってのを書いてくれてる方が嬉しかった気がするものの、量攻めで説得されるのも悪くありません。
直接的に影響を受けるわけでなくても、色んなエンターテイメントに触れる中で自分は何を良いと思うのかってことを意識するのが大事だったりしますし、そこに自覚的になれると「オリジナルの手品を自分で演じる事」っていうこの本の核心の部分も深く味わえると思います。

100個のアイデアは細かいハンドリングが書かれてないだけで手法としてはほとんど完成されてるものや、ちょっと考えれば十分手品になるようなものも多くありました。
こんなこといいな出来たらいいなという理想の手品話もあって、それはそれでとても魅力的な現象が並んでます。

既存の道具や原理から発想したもの、現象から入ってるもの、テーマへの新しいアプローチなどスタート地点も様々で、使用するアイテムのバリエーションが豊富なこともあり全く飽きません。
場所やシチュエーションにマッチした手品も多く、そこでそれを演じる必然性から来るアゲ感も大事にされてるようです。
些細なアイデアであるほど色んな使い道があったり自分なりにどう使うかってあたりを考えながら読めて、完成されてない物だからこそ能動的な読書体験ができます。

アイデアを実際に形にするとなるとそれなりに知識が必要になってきますが、100個のアイデアを浴びるうちに知識の活かし方の可能性は割と広いということや、アイデアの数だけ使える知識も多くなるということを実感できます。
この手の本って「で、君はそれを読んで良いアイデアを思いついたのかね?」とか言われると口籠るしかなかったりしますけども、読んでて普通に面白いのだからそれでいいという事に出来て良かったです。
実用できればなお良いのですが、あんまり急かしてこないライトな感じがこの本のいいとこかと思います。

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