by jun | 2018/09/23

リアムモンティアーが2014年に出したレクチャーノート。
レギュラーデックで行えるカードマジックが11手順とおまけ1手順が解説されてます。
他のノートと比べると若干難易度の高いものがあり、セミオートマティック路線からちょっと外れた感じです。

Giobbi Aces

ロベルトジョビーの”Ambitious Problem”の改案で、3つにパケット分けてそのうち一つのトップにあったエースでアンビシャスカード。
3つのパケット全部でやると、パケットのトップから他のエースが出てきます。

現象的には綺麗で原理もおもろいですがなんか抑揚がない感じで、3回とも同じ手法で行うので不自然な動きが目立ちそう。
ジャズエーセス感というか、あれよりはオチがあるけどもう一捻り欲しい気がします。

Cheese Melt

これです。

キックバックもサンドイッチも好きなだけに色々細かいことが気になります。
やっぱり何かしらの理由があったとしても本筋と無関係なツイスト現象は好きになれません。
あと最後は裏向きに2枚挟まってたほうがワクワク感からの捻りオチで好き。
見た目は綺麗ですけどああいうオチのやつにはもうワンクッション欲しいですね。

Sneak

エースアセンブリ。
どの作業も少し変わったやり方で面白かったです。

マスターパケットには3枚のカードを置かず、オープントラベラーみたいにカードが増えていきます。
他のパケットにも適当な枚数カードを置く工夫があり、消失と増加がわかりやすくなってるのがポイントです。

最初のエース置くとこはこういうやり方してる人少ないと思いますが、くるくるしたりするより断然この方が好み。

パケットから消えましたーって言ってからデックを持ったりしなきゃいけないのが若干あれで、そこでごにょごにょしないといけないのでその部分はかなり負担。

One Across

5枚の中から1枚見て覚えてもらって箱の中に入れ、箱から1枚消えて4枚になっててデックの中のジョーカーの間に挟まっています。
元ネタはジョンバノンの”Out of Touch”で、アクロスカードをサンドイッチにしたことでよくなったところもありますがパターンによってはバッドエンドになります。
5枚から見て覚えてもらうだけならバッドエンドの確率を下げる方法もあると思うんですが、そのあたりには触れられていませんし、この現象ならわざわざリスク取ることもないかなと思わんでもないです。
ただそれだと圧倒的にビドルトリックに劣りますし、ギリのバランスで考えられた結果という感じがします。

バッドエンド処理には色々考えられますが、カードを聞くタイミングとジョーカーの間にあれするのをちょっとずらせば良いんではないでしょうか。
この人の作品結構そっちで解決してるものも多いと思いますし。

Over Eat

カニバルカードで、オチは食べ過ぎでキングが10になります。
なんかこの本ここまでめっちゃ松田道弘感ありますね。

最後全部10になるのがある種の処理になるわけですが、その部分は好み分かれそうです。
うまくプレゼンできれば全然ありだと思いますけども、消失を示す部分は今ひとつ説得力に欠けます。
映画の食人族とか見てるとカニバリズムってやっぱそんなぬるいもんじゃないと思うんですよね。

Mambo Number 5

カードを選んでもらい、4枚のジャックを抜き出し、なんやかんやすると全部ジョーカーに変わります。
その後そのジョーカーが選ばれたカードと同じ数字の他の三枚に変わります。

モンティアーのパケットネタはカードの分厚さに無神経なものも多いんですがこれは大丈夫なやつです。
その前にワイルドなことして分厚くならないようになってるので、あとはノリと勢いでなんとかなります。
この手のチェンジものとしてはちょっと変わったものが使われていて、エンドクリーンになるディスプレイとかもありがたかったです。

Pinch

サンドイッチカードです。
選ばれたカードを突き出した状態にしたまま3つのパケットに分け、選ばれたカードが入ってないパケットにそれぞれジョーカーを混ぜて、重ねるとサンドイッチしてます。
動きはマニア受けするものではありませんが、Sercher的な余韻を残すものの中では難易度もそんなに高くなく、重ねてポンみたいな感じは気持ちいいです。
あとこの手のサンドイッチするカードも埋めてしまう系のが結構好きで、なんか探してるうちに自分見失う感みたいなものがそこはかとなく漂っていて素敵だと思います。
まあまあの割合でサンドイッチカードの本質も見失われますが。

Disburse

リバースコレクターです。
4枚のキングの間に3枚のカードを挟みますが、それが消えてデックの中から表向きで現れます。
インターレースドバニッシュとビドルトリック合体させました!ということで、まあ見た目もネタもだいたいそんな感じです。
キングの間に挟むことで物理的な無理っぽさが出せるかどうかの戦いですね。
表向きのキングの中に裏向きに入れないあたりがかなりフェティッシュを損なっています。

Remix

4枚の赤いカードとジョーカーを表向きに置いて、そこに裏向きの4枚の黒いカードとジョーカーを1枚ずつスペリングみたいなことしながら重ねます。
するとジョーカーのところにはジョーカーが来ていて、他のカードを見てみると全部赤いカードに変わっていて重ねたカードのメイトカードに変わってしまうのでした。

この人他のトリックではプレゼンテーションに力入れてるのに、何故こういう作業っぽいので力抜いてしまったのか…

Birthday Card

お客さんが誕生日に沿ってカードを配って、その結果出たカードを予言するみたいなややこしい話です。
これは完全にセルフワーキング。
お客さんの誕生日を事前に知ってる必要もありません。

ただ予言の結果がわかりにくく、「これを予言してるよ!」みたいなことの説明がめんどくさいのと、めんどくさい割に納得度は低いです。
一応セリフは丁寧に用意されていますが、予言的なことはもうちょいバチッと決めたい感じあります。

コンセプトは面白くどんな誕生日でも成立するんですが、その分不思議度もそこまで強くないのが残念なあたり。

Diamond Cutter

ハートのカードを13枚出して、順番バラバラにしてハートの中から1枚引いてもらい、ジョーカーでおまじないをかけると順番通りに並んで選ばれたカードだけ裏向きになります。
そのカードを見るとジョーカーで、ジョーカーと思われてたカードが選ばれたカードみたいなやつ。

元ネタの”Diamond Cut Diamond”から現象は少し変わっています。
カードを選んでもらうのはハートの中からで、観客に数字言ってもらうところがありません。
そのおかげで難しい技法は使わなくてよくなってますが、ハートを抜き出した後デックに重ねるところにやや弱さが出てたりします。

原理はモンティアーさんが好きなやつの変形でよくできていて細かいノイズはなく、デックに乗せるところの騒音被害をうまく誤魔化すことができるかどうかの勝負の分かれ目です。

Staple Diet

おまけ手順。
いわゆるホッチキスでとめたカードです。
モンティアーの本領が発揮されるのはこういうちょっとした小道具を使う時で、これもかなり好きでした。
他ので使われてる技法が偏っていたこともあり新鮮です。

全体的にいかにシンプルな技法で強いオチに持っていくかみたいな挑戦がされていて、その技法の好みによって評価が分かれるかと思います。
個人的にはもうちょいなんとかならんかったんかと思うような箇所が多かったんですが、現象終わった時の絵面はどれも良いです。
一般のお客さんに見せてもわかりやすい時間差のあるキックバックなのも演じやすそう。

そういえばShazam!ってのはDCコミックの「キャプテンマーベル」の現タイトルで、表紙がコミック風なのもそういう理由からでしょう。
元々DCコミックも「キャプテンマーベル」というタイトルだったのですが、ある日MARVELコミックが「キャプテンマーベル」を商標登録したためにDCがタイトル変えなくちゃいけなくなって「Shazam!」に変わったという経緯があったりします。
DCとMARVELのキャプテンマーベルは全く無関係で、DCのキャプテンマーベルも元は別のコミック会社から出ていて、そのキャプテンマーベルもDCのスーパーマンに影響を受けたということで揉めたりしたというややこしい話があり、今度映画になるキャプテンマーベルはMARVELのキャプテンマーベルです。
インフィニティウォーでの重要キャラになることがほぼ間違いないキャラクターで、先日公開された予告編も面白そうすぎてクウォリティも間違い感じします。
MARVEL映画の予告ってアベンジャーズの時ぐらいまでは良い場面ばっかり使うSansminds手法だったんですけど、最近はさらにやばい絵が本編に入ってたりするんでとても楽しみですね。

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