2010年に出たCaleb Wilesのカードマジック作品集。
落ち着いた手つきであんまり難しいことをせずプレゼンテーションの面白さと構成の上手さで見せる人って印象ですが、この本もまあそんな感じです。
カード作品が6つ解説されていて、だいたいは映像化されてるんですが本の方がセリフのおもろさと現象の意味が取れるので良くできてる感は味わえました。
Problem Solved
ポールカリーのThe Problem Of Card 13の改案。
現象は最初に選んでもらったカードと同じマークのカード12枚を観客が裏向きのまま選ぶというもの。
たぶんカリーの原案を読めばこういう改案をする人いるだろうなという改案です。
こっちの方が怖くないし、さっさと仕事をすませるスタイルなのでそこさえ乗り切ればクリーンに見えるし全然良い手順だと思いますが、カリー版はその変えられた部分にこそ面白みがある手順でもあるので比較すると完全に良くなってるとは言い難いところもあります。
All Signs Point to Yes
裏にマークを書いたカードの表が変化していって最終的に観客のサインカードに変わります。
最初に観客に表にサインしてもらう時は普通に裏を見せられるもので、カードを変化させていくのにも良い感じの演出がされていて素敵な手順です。
裏表のサインを使う似たようなトリックは色々ありますが、ちょっとやることと見せる順番変えるだけで全く違う味わいになりますね。
この手順の場合は変化ということに焦点が当てられていてその感じはとてもよく伝わるものになってると思います。
一応カードを当てていく演出だしカードは自由に選ばせた方がいいんじゃないかと思ったりしますが、他の作品でも全体のスマートさを優先する感じっぽいのでそこらへんは好みでアレンジしましょう。
Clue
観客にカードを選んでもらい、裏の色違い+文字が書いてあるカードを4枚使います。
それぞれ赤か黒かとか偶数か奇数かとかが書いてあって、その向きによってだんだん絞り込んでいけるようになり、最後はそれらのカードが観客のカードのフォーオブアカインドに変わっています。
演出は言葉遊び的なものを含んでますが、まあ単語だしこうするとこうなるという部分が面白いところなので非英語圏でも演じられると思います。
ただ、裏に字が書いたカードは最初から出していてそれが上手いことそうなるというのがやや選ばされた感を強くしてる感じはありますね。
まあ変わるところが面白いからそこ勝負のトリックとしては全然ありだし、ただの当て物じゃない要素があるのは上手いあたりではあるのですが。
Elimin-ACE-ion
4枚のQを裏向きでバラバラに混ぜてもらって、好きなマークを言ってもらいQの中から1枚選んでもらいます。その1枚が言ってもらったマークのQで、残りの3枚を見るとAになって、選ばれたQもAに変わります。
最初に4枚の表を見せないようになってますが、現象的にこれはまあ良いかなと。ただ、最後にQがAに変わるということがあるのでちょっと印象がブレる感じはあります。
「観客が言ったマークだけがQで、その1枚をたまたま選ぶ」ということなら現象としてもすっきりした二毛作になりますし、別のハンドリング案では変化させないエンドも可能なので演じるとすればそっちを選びますかね。
この人の作品は2段落ちやどんでんが多く、現象自体は起きるから驚きはするけど序盤の不思議さを損なうようなものがたまにあります。
Armchair Mind Reading
演者は一切カードの表を見ずに当てられるカード当て。
観客にやってもらうこともごくシンプルでとても不思議です。
ただ、ネタ元と比較するとちょっと制限があって、良くなってるのが手軽で簡単になってるというだけなので観客からの見た目が変わらないということを考えると改案としての評価は難しいところがありますね。
手軽さを活かすことで不思議さを増す様なことは可能なので元ネタ知ってても読んで損はないです。
Premonition and Déjà vu
ラストトリック的なものに別の演出を加えたトリック。
だいたいタイトルの感じです。
パケットだけで行うものではないですが、観客にカードを選んでもらうところがあるのでデックを使うのはそんな気になりません。
現象的にもうちょっとフリーチョイス感のあるものでどうにかしたいなーというのはありますが、これはプレゼンテーション的に複数の現象をうまくさばいてると思います。
たぶん映像になってないのはProblem SolvedとPremonition and Déjà vuの二作。
他はMain Event The Knockout MagicってDVDとAt the Tableのライブレクチャーで見れます。
そっちの方がボリュームもありますし他に良いトリックもあるんでこれからCaleb Wilesって人はそっちの方がいいかもしんないです。
Problem Solvedは良いトリックですが、元ネタが載ってるWorlds Beyondが買えるのでそれを買ってそれはそれとしてこの本も買えば良いんじゃないでしょうか。
あとDLCにあるMatching the Routineがいい感じなのでそれでほぼCaleb Wilesは抑えられます。
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