by jun | 2021/04/10

2009年にVanishing Incから出たChris Mayhewのカードマジック作品集。
後にDVDやダウンロード動画で映像化されたものも多いですが、代表作はほぼまとまっている一冊です。
手順は全てビジュアルなもので、どれも演出があってゆったりしたリズムで見せられるようになっているので派手さだけが際立つようなバランスじゃないのが良いところだと思います。

Dairy Queens

マクドナルド型のアセンブリで、最後はリーダーのとこに集まってるかと思いきや全部消えて箱の中から出てきます。
これ系の手法を使う移動現象は、いかに消失をうまく見せてさっきまでそこにあったものが移動したかのように見せるかが肝ですが、ビジュアルな変化を見せるのでフリがない手順ながら割とそういう風に見える感じがします。
このセットを使って普通に集まるバージョンから続けてルーティンにすればもうちょい強くなりそう。

F.D.S.

ホフジンサーエース。デックの中ではなく観客に選んだカードを持っていてもらうパターンのもの。
ツイスティングの手順を含むもので、確かに4枚のQを使ってるという印象が際立ちますしここのセリフが面白いです。ギャグとしてよく使われるセリフですが、ホフジンサーエースのスペードとクラブとダイヤが表向きなのでハートが裏向いてるという説明の準備段階としても機能してます。
ちょっとツイストの現象はぼやけますが、見せたいのは入れ替わりのとこなんで連続してひっくり返っていく単調さがないのは良いことです。
ツイスティングからのホフジンサーとかサンドイッチとかは都合が見えてしまう手順も多いですが、こういう流れは参考になりますね。

Casino Royale with Cheese

Luke Dancyの”Royale with Cheese”のバリエーション。
現象は4枚のKのうち赤の2枚で選ばれたカードをサンドイッチして当てようとすると、間にもう片方の2枚の黒のKが挟まっていて、黒の絵札があった場所に選ばれたカードがあるというもの。
Tom StoneとTomas Blonbergも同じテーマの作品があって、Stone版はデックとの接触がないような感じでサンドイッチしてハンドリングも鮮やか、Blonberg版は前フリで普通にサンドイッチするパートがあるもので意外性をわかりやすくした感じになってます。
Mayhew版はこの中間というか、しっかりデックの中で1枚挟んだ状態を見せつつそれが2枚のKに変わるという感じでここのディスプレイがとても面白いです。
手順全体として見ればデックの上でKを見せてそこから赤と黒に分けるという流れが重たいといえば重たいけど、デックの上で表向きに見せるのがおかしくならない工夫はされてます。

Holes

真ん中に穴が空いたジョーカー2枚で行うサンドイッチカード。
元ネタはカードが消えるところがメインだけどこれは普通のサンドイッチで、ハンドリングも軽くビジュアルが超楽しいです。
穴あきジョーカーもセレクトカードも渡せるので強い。

Tainted P.O.D.

穴あきジョーカーを使った2枚のカードのトランスポジション。
カードが消えたり出たりするシークエンスもあって入れ替わる様子が見えるようなビジュアルでこれも楽しい。
トランスポジションだとちょっと穴あきのカードを使う理由がぼんやりするのでサンドイッチから繋げて演じるのがいいかもしれません。

Whole Warp

これも穴あきジョーカー2枚を使った手順。
間に挟んだカードがひっくり返ったりしつつ最後は観客のカードに変わります。
まあ穴あきカード使わなくてもできる手順ですが、クリーンさでいえばこれが一番際立ってるかもしれません。
仕掛けの使い方の賢さも楽しめるし、まだまだ応用の可能性を感じる一作。

The Schwartz

フォース技法。
スプレッドから行うもので、好きなカードに触ってもらうので自由度も高いです。
直接引いてもらうことはできないけど、フォースカードの裏を隠せたりと他にいいところもあります。

Cardsexchange

コントロールやカラーチェンジに使えるアウトジョグしたカードのスイッチ方。
特にフォースからコントロールしたい時は一連の流れで出来るので手軽で良いです。
DVDではあといくつか使い方が解説されてるのでこれは映像を見た方がいいかもしれません。
特にTivo型のトップカードとアウトジョグカードのトランスポジションは良かった気がします。

Lazy Rise

Raise Riseの簡単版。
これはこれでコツがいるけど、ここにさえ力を入れてれば安定するというポイントがあるので事故は起こりにくいです。
あとこれ斜めにアウトジョグさせるのですが、そのおかげで前のエッジが半分見えるのでちょっとずつ上がってるのがわかりやすいのも良いところかなと。

とても良い本。
Vanishing Inc最近この規模の冊子はほとんど出ないけど、こういうマニアックな方面もたまにはお願いしたい。

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