ATTダニダオルティス2週目。
いつも通りトリックもめちゃくちゃ不思議で、理論解説もこってりあるので見応えはシリーズ中でも屈指だと思います。
この回の司会はグレゴリーウィルソンで、だいたいこの二人が一緒にいたらどうなるかは想像できると思いますが、予想以上のわちゃわちゃぶりで収録時間は3時間4分。
ただ、グレゴリーウィルソンがする質問とかはさすがに的確で、結構深いとこまでダニダオルティスが話してて面白いです。
Improvised Warm up (演技のみ)
鬼のようなカードルーティンです。
配っていってストップかけてもらうを4回連続でやって、残りのカードを数えると10枚、ストップかかったとこのカードを見ると4枚の10。
10を1枚デックに戻して混ぜて、またストップを言ってもらうとそこから10。
混ぜてもらって見て覚えてもらっただけのカードが飛びだしてきたり、思っただけのカードが当たったり、マジで意味不明です。
似たようで少し違う心理トリックの連続だと思うのですが、観客が操作する部分が大半だったりして自由度はかなり高く、グレゴリーウィルソンもガチで驚いてるリアクションしてます。
Earthquake
2枚のカード当てで、1枚は思っただけのカード。
そのカードの数字の枚数分配ってもらって、配ってもらう時の振動で当てるからEarthquakeというタイトルがついています。
原理と理論の組み合わせ方が絶妙なトリックで、カード引いてもらうとこからめちゃくちゃ賢いです。
トリック自体は大半が原理で成り立っていますが、演出の面白さもあって作業っぽさは皆無。
Two Piles (Perception Demonstration )
デックをシャッフルして、適当にカードを抜き出して2つに分けます。
その後で観客にマークを一つ決めてもらい、抜き出したカードが全部そのマークだけになってるというマジックです。
このトリックは認知をテーマにしたもので、結構ダニダオルティスの本質みたいなところが解説されてます。
要はダーティワークとセリフとのタイミング、後は何気ない動きでされる鬼クウォリティ技法です。
技法自体は不自然な動きではなく、ただそれをやってるだけだと誤魔化されないと思いますが、その動きをやってる時に不思議なことをやる準備と思わせない策略というか、本当に一つの手順の中で考えてることの量が違います。
いかにして認知は騙されるのかというのをカードを使って説明するパートでも、そういう話だと知ってても引っかかるし手順の中でやられたら絶対気付かないようなレベルでやってました。
認知と言えば、ダニダオルティスとファットブラザーズ仲間であるミゲルアンヘルヘアのPERCEPTION SHAPED AS A COINがリリースされましたが、結構似てる部分も多いです。
スペインでやばいものが生み出されるのってやっぱりタマリッツやアスカニオの存在が大きいのでしょうね。
The Multi-Effect Wallet
ダニダオルティスがマジックに特化した財布を出していて、こんなことができるよーという説明をしてます。
破ったカードとサインのルーティンはめちゃくちゃ面白かったですね。
カード入れが透明になってるとこがミソ。
日本のショップでもあちこちで扱ってるみたいです。
Multi-Effect Wallet by Dani DaOrtiz – マジックショップMAJION
ACAAN
選んでもらったカードを戻して混ぜて、数字を聞いてその枚数目から出てきます。
ACAANとなってますが、カードアットエニーナンバーです。
ただし、配ってもらうのは観客にやってもらえますし、数字言ってもらってからすぐにデック渡すので限りなく理想形に近いと思います。
シャッフルもコントロールした感じは全くないですが、カードを雑に扱う感じのやつなのでそこは好みが分かれるかもしれません。
エニエニの作り方っていかに「観客にそう見えるか」だと思うので、変にバーグラスエフェクト意識するより捨てるとこは捨てて不自然を減らす方向の方が強い気がします。
Impromptu P.Exact Force
PVの前半のやつです。
カードを4枚選んでもらって、その後に残りのデックを4つに分けます。
分け方はストップ言ってもらったり適当に束で抜いてもらったり、全く自由に見えるのですが、4枚選んだカードの数字と、それぞれのパケットの枚数が一致します。
ダニダオルティスはサッカートリック風に演じることがよくありますが、どうせうまくいってるんやろって感じが全くありません。
これで何か起こったらやばいだろっていうのばっかりです。
オチのどんでん返しもトランプの特性を活かしていて小気味良いですし、フリーチョイス感もカバーも考え抜かれてます。
ここまでいくつかフォースや誘導の話が出てるので、グレゴリーウィルソンがやらしいタイミングでストップかけるのですが、全く怪しいところなく成立していました。
グレゴリーウィルソン自身もこの手の心理的な攻撃はよくするので、タイミングはかなり外してたはずなのですけどね。
実演するにはかなり難易度高いです。
頭使いますし、アドリブ力もいるのでかなり経験値いるやつです。
トリックの他にダニダオルティスのマジック論トークが多くて、一部は最近スクリプトマヌーヴァで日本語化された本とかぶってるので合わせて読むのおすすめです。
んなわけでダニダオルティスはダニダオルティスであることを再確認できるレクチャーで、At The Tableのシリーズの中でもトップクラスに面白いです。
個人的ベストはACAANかImpromptu P.Exact Force。
個性が強すぎてそのまま演じるのは難しいですが、毎度ショックを与えてくれるダニダオルティスの映像は見れるだけ見たいです。
あの気さくに見える演技スタイルでも観客のコントロールは可能っていうのは色んな人が参考にできるあたりですし、なんか知らんけど楽しそうって雰囲気もとても大事なことだと思います。
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