by jun | 2018/09/15

1990年発行、ラッカーバーマーによるカードマジック”FIX”集。
L&Lで電子版セールやってたので表紙のかっこよさで選びました。
FIXにはいろんな意味があって云々みたいなことが書いてあって、ただ技法変えただけとかじゃなく変えることによってメリットがいくつも増えるようなものが多かったです。
マルローものも多いし元ネタ知ってるともっと楽しめるのでしょうけども、今ではあんまり見ないような変な動きとかもあって面白く読みました。
60個ぐらい解説されていて、特に章分けとかもされてなかったんで適当にカテゴリー分けしていくつか紹介します。

カード当て

一番最初のトリックは2枚のカードが当て”Ayes of the Gods”。
この原理を使ったカード当ては結構派生作品がありますが、このバージョンはリフルシャッフルのとこはお客さんにやってもらえません。
その前は普通にどう混ぜてもらっても大丈夫なので問題ありませんけども、やっぱパケット2つにわけるなら戻すところはお客さんにリフルシャッフルしてもらうと綺麗かなと思います。

“The Zen Two-Shooter”はBallet Trickを連射できるようになりました。
選ばれたカードが複数でもばんばん撃てるんですが、中から発射された感はかなり減少しています。
あと裏側の話ですが原理的な面白さはほぼ失われてしまいました。
でもこれちょっと頑張ればダブルバーストとかショットガンとかみたいに発射することもできそうです。

観客自身が選んだカードを当てる”Two-Card Force-Field Ceremony”は、ぐちゃぐちゃに混ぜてトップカードを手に持ってもらって、ストップしたところから手に持ってたはずのカードが出てきて、手に持ってたカードがセレクトカードに変わるというもの。
今だとトップカードを差し込んでもらう形式が多かったり、ストップかかったところは関係ないカードでトップカードは全く別のところから出てきたりするのも見ますが、こういう形もあるのですね。
手に持ってもらうだけというのは理由が薄いせいか、この手順はやたらセリフに凝ってます。さすがにForce-Fieldは辛いのですが。

サンドイッチ系

サンドイッチがお好きなようでいくつもサンドイッチ現象が載っていました。

モンキーインザミドル的に見せることができる”Olram Catches A Card”はシンプルながら細かい動きにこだわりがあって良いです。
この見せ方やっぱシンプルに強いですよね。

対して”Visual Retention Sandwich”はやたら回りくどくて、何もなかったところにビジュアルに挟まったように見せるために頑張っています。
ワクワク感が減るのであんまり裏向きのサンドイッチに表向きのセレクトカードが挟まるの好きじゃないのですけども、エキストラなしで意外と表向きのゴミが残らないのはいいところです。

“A Stripper Catches A Card”はタイトル通りの手法ですが、よくあるそれじゃなくてあっちにあれされてる方のあれ。
個人的にもあっちにあれされていた方が自然な手の動きであれできていいかなと思っていて、ビジュアルなプロダクションにも向いてる気がします。
いわゆる「シュッ」ってやるサンドイッチのより不可能性が高いバージョンで、見た目面白いです。

シュッてやるやつはもう一つ、”Tossing Lunch”ってのが解説されていて、セレクトカードをアウトジョグした状態でシュッとするのでなんかビジュアルな気がしますが、普通にジョグカードをシュッてやっただけに見えそう。
こういう実際にはそうじゃないのにそう見られる可能性がめっちゃ嫌ですね。どうせそう思われるならと思って試しにやってみたらカードぶちまけて余計イライラしました。

ジャスティンハイアム案件の”Fuddle Aces”は、4枚のAのツイスト現象の後、赤いAをデックに戻すとサンドイッチでカードを捕まえます。
赤のAと黒のAが入れ替わるオチです。
これもオチのために裏向きの2枚に表向きの1枚が挟まる系。しかも表向きにスプレッドしないといけないので見た目は綺麗じゃありません。
なんか前菜みたいな感じでとりあえずツイスト現象入れるみたいなのがあんま好きじゃなくて、これもできるからやりました感がまあまああります。
ただ、ツイスト現象の結果いい感じにスイッチできるセットになっていく感じはわりと気持ちよくて、スイッチ法も普通にダブルでどーんじゃないので面白いです。

システムを使った”Sandwich For Stebbins”はあんまりシステムの特性活かしてなくてサンドイッチである理由もよーわからんでした。
確かに特定の方法としてはやらしさがあっていいのですけど、もっとこう、表を見ずにカットしてシャッフルすると挟まるみたいなこともできそうな気がします。

カードが移動するマジック

カードマジック事典だとなんでもここにくくられるやつ。

“HOP SKIP JUMP”は4枚のジャックのパケット間移動で、最後は1枚が箱に移動します。
手順自体はえっていうとこもあるのですけども、ジャックを4枚に見せるサトルティが複数解説されていて面白かったです。ガスタフェローのあれみたいなやつ。
その部分が綺麗なのでもうちょっとすっきりしてほしいって気もするのですが、パケット間移動してるときにも4枚のジャックがそこにあるという感じが出るので退屈させずオチに向かう感じだとこれ以外ないのかなという感じ。

4つのパケットのトップに一枚ずつキングを置いて、重ねるとキングがトップにくる”Rising Robbers”。
アウトジョグしながらあれするテクニック便利そうで、パケットを再びデックに重ねてブラウエアディションするより遥かに自然です。
キングを置いていくところは、今だったらヘルダーギマレスのインビジブルスレッドで使ってるあれでスムーズにいけますね。

移動というかトランスポジションですが”Stranger Siamese Strangers”は良かったです。
三角関係的な移動を混乱させずに見せることができそう。

“Spectator Card To Wallet”ちょっと変則的なサインカードでできるカードトゥウォッレット。
最初に財布が空なの見せなくてよければ普通の財布でもスマホのケースでもできます。
というかサイン付きなので別にあらためパートいらんですね。

構成的に面白いのは2枚のカードが連続でポケットに入る”Ninety Degrees In The Shade”、で綺麗にデックバニッシュオチまでいきます。
移動系は1枚の方が綺麗とは思うんですが、デックバニッシュのあれもあるし、こういう手順なら2枚でも気にならないですね。

予言

ポストイットを使った予言”Post-It Prediction”が気に入りました。
スペードのAに予言を書いたポストイットを貼ってボトムに置き、お客さんにテーブルの下でカットしてそのパケットをひっくり返してもらいます。するとスペードのAと表同士くっついてるカードが予言されているという感じ。
テーブルの下でお客さんにポストイットの感触を確かめてもらえるというのが強いですね。
ポストイットならカードも死なないし、お客さんに見えないところでやってもらう作業としても難しくなく、工夫すれば事前にシャッフルもしてもらえます。

少しワイルドな手法の予言では”Adding the Aronson Kicker”がワイルドながらガチ予言っぽいパフォーマンスではこのぐらいのバランスがベストかなと思いました。
予言はフォース勝負かいかにレギュラーに見せるかの手法がありますが、個人的には後者的な方向で頑張りたくて、このトリックもそういうものなので参考になります。
ちょっとサッカートリック風なのもメンタルすぎず手品っぽくて良いです。

その他古典

2のカード2枚のAに分裂する”Fixing The Vegas Split”はポール・ハリスの原案から使用技法が変わってます。
表向きセットが不要でガチビジュアルなDan & DaveのTwinsplit Remixを除くとこれがベストな方法のように思います。負担低いのはいいことですし。

ホフジンザープロブレムは”A Case For Hofzinser”というのが解説されていて、エースが1枚ひっくり返ってマークを当てたあと、デックを見るとカードが消えていてケースに1枚のカード、見るとAで選ばれたカードはエースの中にという流れ。
このパターン結構邪道かなと思ってましたが演出次第で2回すごい距離を移動したように見せれるし、フォースの負担も減るのでめっちゃ良い気がしてきました。
セレクトカードをあれするところはラッカーバーマーが好きなあの技法。たしかにホフジンザーにはとてもマッチします。
あと、4枚を揃えながら1枚をトップにあれしちゃうところ結構いい加減にやってましたが、ここで解説されてる方法は説得力高くて良いです。

リセットは”Off-Color Reset”という赤裏のAと青裏のKでやる手順。
思ったほど無理はないんですが、色違い見せるためにカウント増えるので微妙だったりします。
カウントがなかったとしても、裏が色違いの入れ替わり現象って説明的になりすぎる気がするんですよね。
表変わったんだったらそりゃ裏も変わってるって話ですし、先回りや逃げてるというより「ほらっ!ほらっ!」みたいな感じが照れくさいです。

コントロールと挟み方が特徴的な”When Collectors Become Catchers”っていうコレクターは今だとあんまりやる人見ませんが、Kはわきに避けてる体なので、あの挟み方は結構いいと思ってます。コントロールが煩わしいのがあれなんですけども。

当たり前ですが、昔こういうのがあったけど今は見ないからと言って別にダメな手法ということはありませんね。
この本は割と今ではあっさりやられるようなところに気遣いもされていて、知らなかった方法も多かったです。
結構ノーセットにこだわりが見られて、ギャフ使うのも借りたデックに加える方法が解説されていたりしました。
マニア相手には借りたデックになんか足すのって一番強いですよね。
足したまま返せば利子っぽくて良いし。

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