ライアンシュルツがセルフワーキング手品を厳選して解説しているDVD。
クラシックからここ10年ぐらいの作品まで幅広く解説されていて、有名なものでもちょっとしたアレンジや演じ方など多いに参考になるDVDでした。
Forget to Remember
カードを選んでもらって、そのカードと同じマークで別の数字のカードを言ってもらいます。
最初からテーブルの上に置いてあったカードがそのカードです。
引いたカードではないカードが予言されてるので手かがりがなさそうに見えて良いですね。
カードを変えてもらうとこの説得が勝負になってくる手品で、シュルツも結構時間かけて色々話してます。
度を越したバッドエンドがあるので、いろんな意味で演じ力が求められる手品です。
Emotional Reaction
ダイバーノンクラシック。
シンプルな原理のカード当てですが、やはり演者がデックに触れないように選んでもらうと不思議に見えます。
シュルツは観客が完全にシャッフルした後に当てれるように演じていて、この見せ方は良いです。
仕事終えてからフェア!フェア!みたいなのを何段にも積み重ねるの好き。
Borrowed OOTW
シャッフルしたデックでできるアウトオブディスワールド。
フルデック使わないさっぱりした感じも素敵です。
あれをくるっとする代わりにあっちをくるんとしますが、ゲーム感覚で観客とコミュニケーション取りながら行うので大胆な動きも流れるようになってます。
ノーセットで出来る代わりに現象も矮小化してしまうというのはまあそうなんですけども、軽さってシチュエーションによっては大きなメリットだったりしますしこれはこれって思うとすごく良い手順じゃないでしょうか。
Pulse Detection
シュルツ作のEmotional Reaction改案。
4枚のカードを候補として出して、そこから観客に1枚選んでもらい、残りのカードを見ると3枚とも同じ数字のカード、観客が選んだカードはその3枚と同じ数字じゃないのに大丈夫かと思わせといて当たりでしたーみたいな見せ方です。
こういうひねりの効かせ方は好きなんですが、演者がデックの表を見てカードを選ぶシーンが入るのはちょっとアレな気はします。
Prior Commitment
観客2人にカットした場所のカードを覚えてもらい、デックを広げると表向きにジョーカーが2枚あります。
そのジョーカーが二人のカードの枚数目を教えてくれるとか言って、その枚数を数えるとちゃんとカードが出てきて、ジョーカーの裏を見るとその枚数目が書かれています。
アロンソンの名作。
観客がカットする場所もフリーだしかなり不思議です。
エルムズレイにも似たやつあった気がしますが、一体なんでこんなことを思いつけるのでしょうね。
Bath Towel Mentalism
佐藤総さんの作品で、PVにも使われています。
これはバスタオル使ってなんぼやろというのは置いといても、まあ不思議ですね。
ひっくり返して表向きにすんのも箱に入れるのもちゃんと筋の通った理屈がありますし、テーブルの下やバスタオルの中で操作すんのも演者の見えないとこでやるって意味で通るしこの手の原理使うものでも最強だと思います。
It Cuts Deep
裏向きに3枚のカードを出してそれを言い当てます。
タイトル通り3枚出すとこはディープなカットを使いますが、観客がシャッフルしてからマジシャンがデックに触らず速攻でディープなカットをやってもらえるのがいいところです。
マニア向けに是非。
All Expenses Paid
ジムクレンツの大傑作。
パーム不要のカードアクロスで、パームどころか全く演者がカードに触れないでも演技可能。
これは本当に賢いですよね。
複数枚の移動もできるしカードを数えるのは全部観客というのが良すぎます。
枚数だけ動くカードアクロスの中では最強の部類じゃないでしょうか。
テーブルないシチュエーションだと途中のあれもほとんど気にならないと思います。
Upside Down Deck
演者と観客でデックを半々にして持って、それぞれカードを選んで相手のパケットに差し込み、それを表裏で重ねると選んだカードだけが裏向きになるちょっとしたトライアンフ的な現象。
表裏のパケット合わせる時のディスプレイが良いですね。
ガスタフェローがよく似たようなことやってますが、混ぜたわけじゃないのになんとなく表裏感を出せてます。
The Absent Player
観客全員でシャッフルしたデックでポーカーをしますが、演者がロイヤルフラッシュで勝ちます。
ダニダオルティス作品らしく、シャッフルするとこがめっちゃいいです。シャッフランシャッフランシャッホーって言うあれ。
演者が最初に持ってるパケットも交換して混ぜてカードも観客に配ってもらえるので完璧にフェア。
シュルツがやってることによってダニ作品をどう演じるかみたいなヒントも得れます。
Gemini Location
2枚のカード当て。
原理はタイトル通りで演出勝負ですね。
リアムモンティアの手品はこういう原理の別の活かし方みたいなのが多くて当たり外れあったりしますが、これは当たりの方かと思います。
Poker Players Picnic Redux
シャッフルしたデックを4人で分けて、それぞれのボトムカードに従って色々と操作しつつ、最終的に4つのパケットのトップカードをコントロールできるというもの。
操作パートは退屈っちゃ退屈ですが、ランダム性は強調できてかなり不思議です。
4 Sided Gemini
2枚のジョーカーからジェミニツインズをスタートして4枚のAを出せるようにしたもの。
出ましたジョンバノン。
実質1枚は全くジェミニと関係ないのですが、それをオチに使える構成が見事です。
3枚目のそんなことできんのかってとこも賢いですし、たぶんバノンの手品って知らないで見てもこれ絶対バノンやろって思いそうな頭の良さとずるさがあります。
Shuffle-Bored
観客が表裏ごちゃごちゃにしてその結果が予言されてるやつ。
なんか携帯でメッセージ送ってスクロールしてもらうことで段階的な予言を見せていました。
それはともかく、ここでシュルツが演じてる方法はかなり良いです。
観客を2人使うのですが、それによって演者の手からデックが離れた状況でシャッフルされる絵を見せれますし、表裏にするとこはめっちゃランダムっぽくて覚えやすいメリットもあります。
Silent Tansmission
演者はその場にいなくて携帯でスピーカー越しに話して、混ぜてとか分けてとか覚えてとか指示を出して、最終的に裏表になったデックの表のカードを順番に読み上げてもらって当てるというやつ。
セルフワーキングマニアの中では人気の某トリックがベースになっていますが、こういう使い方もあんのかと関心しました。
テーブルに電話が置いてて指示通りにやれみたいなのもスパイ映画みたいでかっちょいいです。
Six Covers Six
ラストもカード当てですが、シュルツ作品の中ではこれが一番良かったです。
マークドデックを使わずに裏向きのまま当ててしまう演出ができます。
しかしまあどの手品も上手く演じる人ですね。
そもそも怪しいところがない手品が揃ってるってのもありますが、やはり手続きの中でのなんでそんなことすんねんという部分の正当化ぶりに関心します。
こういう解釈の正しさを持ちたいもんです。
カイジの沼編で、カジノ屋がパチンコにあからさまなインチキをしていて、会長からどちゃくそに怒られるシーンを胸に刻みましょう。
沼編は世間的には評価が低いですが、カイジ側も敵側もバレないように少しずつ悪さを仕掛けるという意味で手品的に学ぶところは多いです。
限定ジャンケンのとこも手品やる人が読むとゾッとするような場面があったりしておすすめです。
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