by jun | 2022/12/31

言うて今年の手品をそんなに買ってないんですけども、年単位で振り返るに丁度良いぐらいの数は見たので今年もやります。
今年はマジックマーケットで良い作品をたくさん拝めたのでまずその話からしますと、『洋書の売りつけ方』『で、これがロイヤルストレートフラッシュ』『カードマジックの果て』『動画分析ソフトで自分の技法に絶望する方法』は特に特に良かったです。
どれも普通に手順が解説されてる本ではありませんが、新しい視点を与えてくれる有意義で刺激的で他で味わえない貴重な読書体験が出来ました。

堀木智也さんの『洋書の売りつけ方』は本の購入ガイドとしてだけでなく、好みを明らかにして自分の手品を効率的に強くする助けにもなる本です。大半が闇で構成されている手品出版界をサバイブするために必読の一冊。
【ダウンロード】洋書の売りつけ方 by 堀木智也 – マジックショップMAJION

洋書の売りつけ方 レビュー

万博さんの『で、これがロイヤルストレートフラッシュ』は、ゴリラに引き続き面白手順を通して大事な何かを教えてくれます。
無自覚に良かれと思ってやってるまずい事って無限にあって、それ予防にはめっちゃ効くのでみんな読んだ方が良いです。
[PDF]で、これがロイヤルストレートフラッシュ – 盲学校でマジックショーを! – BOOTH

で、これがロイヤルストレートフラッシュ レビュー

Kohei Imadaさんの『カードマジックの果て』はもう完全にツボ。
個人的な趣味でもあるけど結構な果ての人に刺さったのではないでしょうか。
カードマジックの果て レビュー

あぶくさんの『動画分析ソフトで自分の技法に絶望する方法』は上手い人がどう考えているのかという事を知れる大変貴重な文章です。スライハンドの上手いにはある所に超でかい壁があるけど、その超え方を教えてくれる一冊。その厳しさも痛いほど伝わってくる。

加齢もあってというか加齢を言い訳に限界を感じることが多い昨今なんですけど、自分も色んな方向で伸び代あるなーと思わせてくれた4冊を選びました。
ここに挙げた4冊は単純に文章が面白いという点も共通しており、やっぱり凄い人は根本的なエンターテインメントパワーが高い。

さて今年の手品を語る上で欠かせないのがDrawing Room Deceptionsの日本語版でありましょう。
最高の本が最高の形で日本語になったとしか言いようがないこの一冊、出た瞬間にブックオブザイヤー。凄いらしいと聞いていた本が本当に凄いと確認できただけで今年は満足。今年はっていうかそれなりに手品やっててちゃんと読めてなかったことに負い目があったのでほんまに読めてよかった。

Guy Hollingworth『Drawing Room Deceptions』 | 教授の物販

Drawing Room Deceptions 日本語版 レビュー

普通の手順が載ってる本は今年から配信が始まったウェブマガジンのHermitでかなり満足していました。
編集長のScott氏の手順見てても趣味が似ている感じあるし、寄稿してるクリエイターもマニアックさと実用性のバランスが良いです。
Hermit 1年間の個人的なベストはこちら。

・Match Up (Michał Kociołek)
・SIRIously Mental (Michael Pilkey)
・Casual Cassandra (Joshua Jay)
・Collecting One by One (Harapan Ong)
・On Waving Tides (Scott Baird)
・The Floating Bag (Patrik Kuffs)

Michał Kociołekのやつはさすがに複雑化しすぎな気もするけどまあ凄い。
SIRIously Mental はちょっと前に発表されたもののようですが、まだまだこれから流行りそう。応用も色々出来る素晴らしい原理。
Joshua Jayのやつはガイホリングワースのカサンドラのカジュアル版。
Harapan コレクターは捻り方が唯一無二で、とにかく変わったアプローチで面白かった。
Scott氏はマニアックで面白いのもいくつかあったけど、赤デックから青デックへのカードの移動というわかりやすい現象をユニークでミニマルな手法で解決しているOn Waving Tidesが良かったです。
普段あまり積極的に情報を得ないサロンの手順なんかも雑誌だと読むようになって、Patrik KuffsのThe Floating Bagはダントツで気に入りました。

Hermit以外の個別作品ではアイデア集 Twilight 収録の骨抜きシステム、西乃幸助さんのSCENARIOも印象深いトリックです。
あとMultitude日本語版で読んだVincent HedanのZYGOSITY。この本に入ってるトリックはマルチイフェクトデックの同じセットで全部演じられるのが強すぎる。ZYGOSITYは元々ハイパワーなので一作これを選びたいと思います。

最後に最近読んだJohn BannonのNinja Assembly。この前Ace Assembly 100本ノックというエントリを書いたのですが、この中に入れてもかなり上位に入るぐらいの出来。集大成感があるので元々上位にいたJohn Bannonのいくつかの作品はごぼう抜きしました。

マジックみたいな限界がありそうな創作物は年々エポックな作品との出会いが減りそうではあるんですけど、毎年これは凄いと思えるものにぶつかれるのでハッピーです。
今年は積読クラッシュを頑張っていて最新手品情報疎い人になっていたのでこれを読まずして何を語っとるんやみたいなのがあったらコメント欄で教えてください。
そんじゃあ皆様良いお年を。

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