by jun | 2020/12/30

発行年2019のもあるけど今年ショップに並んだ手品でうちにあるやつ。意外とセーフ。
でもやりたいやつ出来るようになろうとするとこれでも多すぎ。こないだ道でばったり会って「めっちゃブログ書いてるけど、どれぐらい出来るん?」て聞いてきた人がいたのでスポンジボールで殴りました。
この中と今年リリースされたダウンロード商品から何個か選出しようと思ったけど作品集単位だとどうしても決めきれないほどそれぞれ良いとこがあるものばっかりなのでとりあえず全部振り返りたいと思います。どれも本当に買って良かった。

以下、レビュー書いた順です。
マジックマーケットで出たもので再販見つけられたものはリンクしましたが抜けてるのがあったら追加するので教えてください。

Illusioneer (Carlos Vaquera)

今年発売されたVanishing Inc本はショー向けのがっつり手品ものが多かったんですが、この本は軽く演じられるものがいっぱい解説されててバリエーションの仕方も面白かったです。
オーヘンリーのテクニカルな解決”Leading Ladies”は理想に近い出来。パーム含む手順だけど解説も良かった。その他ブランクカードにサインが移動していく”Traveling Signatures”、サンドイッチされたカードが次々と変化していく”Sandwich à Trois”、変なプロダクションの”Escorial”あたりが特に気に入ってます。

The Illusioneer – Carlos Vaquera – Vanishing Inc (レビュー)

The Shift #2 / The Shift #3 (Benjamin Earl)

#2はとにかくPVがよかった。
#3は”Blue Moon Triumph”。
まあ、こういう風にすれば手順がすっきりするよというバリエーションはいっぱいあるので、年に何回かこの感じのを読んで物思いに耽るのは悪くないと思ってます。
装丁とてもかっこいいので、目を閉じて持ってるだけで何かっぽくなれます。

The Shift #2 – Studio52 (レビュー)

The Shift #3 – Studio52 (レビュー)

Second Thoughts (Ramon Rioboo)

Thinking the Impossibleに引き続き、とにかくカードが当たり、予言され、一致します。
予言では”An Adjusted Prediction”、一致では”The Roulette Deck”、カード当てでは”Same Number for Three”、この三つはどれも感動するレベルでした。
赤と青のデックを使ったサインカードの移動現象”Double Magic Trip”の巧妙さも良い。
どれもやればやるほどハマりそうな感じします。

Second Thoughts – Ramon Rioboo – Vanishing Inc. Magic shop (レビュー )

Interpreting Magic (David Regal)

達人の必殺級の手品が凄い勢いで解説されてました。
最初のカードの章読んだ時はまあまあまあぐらいの感じだったんですけど、サロンステージネタは本当にやばいもんがいっぱい載ってます。
指輪が消える”Glass & Gold”、カード箱からコインがめっちゃ出てくる”Box of Silver”、パンが焼ける”Our Daily Bread”、超大がかりなネストボックス”Fiscal Waste”、ボトルの中に入ったミステリーカード”David’s Bottle”、ステージでの2デック間トランスポジション”Two Ships”、ちょっと挙げるとキリがないぐらい。
David Regal、いくつかの商品のイメージからなんとなく思ってた感じより遥かに良かった。

Interpreting Magic – David Regal – Vanishing Inc. Magic shop (レビュー)

Nesmor Tips Vol.1 / Stay4 (ねすもあ)

マジックマーケットで発売されたねすもあさんの作品集2つ。
Nesmor Tips Vol.1は高難度技法の更なる発展、Stay4はディスプレイのこだわり満載なAの出し方。
一瞬、本当に一瞬で4枚同時にAが出る”popcorn”、フラリッシュの流れでの4Aプロダクション”flower”はマジ最高でした。
ディスプレイのフェティッシュはトップクラスの人がどういう細部の詰め方をしてるのかというのがわかるような内容でもあり、凄い人は凄いということを再確認しました。
自分でやってみると見た目に差がありすぎて涙出てきますね。

NesmorTips-vol1 – NESMOR ALL IN ONE (ねすもあ)の商品|ファンティア[Fantia] ( レビュー)

Stay4 – NESMOR ALL IN ONE (ねすもあ)の商品|ファンティア[Fantia]

Silver star (K-Go)

去年のWeedsも面白かったK-Goさんによるコインマジック作品集。
パースの向きが変わる”Repurse”がとにかく傑作でした。
ほかのコイン移動手品も構成がちょっと変わっていて怪しい瞬間がないのでとても不思議。”Clear glass”の見せ方もとても気に入ってます。

レビュー

F is for Faro: ファはファローのファ (こざわまさゆき)

こざわまさゆきさんによるファローシャッフルのまとめ本。
基本原理、参考資料、習得法、さすがの情報量とわかりやすさでした。
同じくマジックマーケットで発売されたファローシャッフル本が無事完売したのはこの本のおかげであることは言うまでもありません。多謝。

レビュー

テジナビタリ 2020 / banana (園内五果)

テジナビタリは手品スポット放浪記。
この手の文章が好きだし、こういうご時世に読めてよかったと思えるような本でした。
bananaは安定の果物シリーズ。
最短距離を行くスマートで無駄のないハンドリングは毎度勉強になります。
演出の面白さもいつも通りで、カニバルカードとライディテクターを上手いことくっつけた”Lie Eater”と、”Rule of RPS”が超良い感じです。素材を何かに見立てて筋の通った手品として表現するセンス。
定期的にMatching the Cardsのバリエーションが読める名物感も毎度の楽しみ。

テジナビタリ 2020 レビュー

banana レビュー

JAZZ (でいしゅう)

タイトル通りのジャズ手品本。
「そこは即興で」と済ませそうなところをかなり詳しく解説してくれてます。
現象が決まっていて、それがとても魅力的なものなのでモチベーションが上がるし、最初からそういう手続きをする手品であると思わせる構成がどれも見事。
慣れてない身からすると怖いポイントがほぼ解説されてるし、文の書きぶりも頑張ればいけそうって感じがしてくるものでした。
Mnemonicosisをシャッフルデックでやるような”説明の出来ないトリック”は特にやってみたい。
即興で使える手法が大量に解説されているので、何か観客の自由度を増やしたいような手順に出会う度に参照した一冊。読み返した数は今年一でした。

【ダウンロード】Jazz byでいしゅう – マジックショップMAJION (レビュー)

MATRIX (みの)

何回見ても不思議なマトリックス。
それぞれの動きに理屈があって、実際めちゃくちゃ自然に見える。動画だけだったら観賞用化しかけてたと思うんで、文章の解説を読めてよかったです。
リテンションバニッシュは引き込み方とか握り方とかの自然さもあるし、置いたように見えるというのが他にはない工夫で、使い所が広がるようなものでした。
レビュー

Distilled (Ryan Plunkett)

どっしりしたクロースアップショー向けの実践的な手順。
それぞれ準備は大変ですが現象はフェアで盛り上げれるものばかりです。

“Any Card at Our Numbers”はエニエニではないけど、Our Numbersの見せ方がおもろいです。これは読み直してみたら好き度が上がって、今はかなり良いんじゃないかと思ってます。
“Fan Mail”のお手軽にテーブルにあれする方法は便利で、観客にシャッフルさせる手順に役立つものです。シャッフルさせてから観客に枚数を減らしてもらう手際も良かった。
観客に重さが変わることを確認してもらえる”Gravity Deck”が変わった手品で面白かったです。意外とリアルに重さを体感させる手品って少ないので結構なお気に入り。

Distilled (Ryan Plunkett) – Ryan Plunkett – Vanishing Inc. (レビュー)

Five Easy Pieces (長谷和幸)

シンプルな仕掛けとわかりやすい現象。
手品はじめたての時のようなわくわくがありました。
“冷たい方程式”は巧妙な予言。英語でやる似たようなやつより気配がなくて良いです。
クリップを使った貫通の”リアル・スティール”は読むよりやってみておーってなる感じでとても楽しい。

Five Easy Pieces | TozakiMagicSchoolStore (レビュー)

Magic For BLM

Black Lives Matterのチャリティで出たアンソロジー。期間限定で今は買えなくなってます。

Daniel Royの”Playing Heavy”というカードアクロスがいい感じの2段手順で良かったです。
2段目は観客の好きな枚数目から出せるおまけつき。フェアに終わらせても良いけど、圧倒的優位を利用して盛るのもおもろいですね。

Harapan Ongの”Travellator”というパケットトリックは、エレベーターカードのオチがカードインボックスになってるトリックで、Principiaに載ってないやつだし読めて良かった。実際より少ない枚数ということをテーマにした作品で、解決もスマートだし普通に良いトリックです。

あとちょっとまだ完成は見えてないけど、Sebastian Midtvaageという人のショットグラスでやるミステリーカードがあって、出来たらなんか良さげな気がします。

Magic for BLM – gumroad (レビュー)

False Anchors (Ryan Schlutz)

Ryan Schlutzが限定で出してた冊子の再編集合本版、ちょっと気になってたのでまとめて読めて良かったです。便利な道具付き。
一番良かったのはサンドイッチカードをスイッチする技法。考えてた手順がこれによって完成に近付いたのでかなりの当たり。
観客体感型の気持ち悪いトランスポジション”In-Air Transpo”、アニバーサリーワルツの”Boxy Waltz”も捻り方も面白かったです。
“I Love You”もいつかそのままのセリフでやってみたい。

False Anchors (Book + Gimmick) – Vanishing Inc. (レビュー)

The Darkest Corners (Ben Hart)

オリジナリティの高いステージマジック。
“A Shot in the Dark”という観客が唯一の焦げてないマッチを選んで火をつけるという手品は現象が素敵でとても気に入りました。
シルクと桃の種のトランスポジションや、食虫植物の葉を閉じさせるなど、他の現象も変で良かったです。
ラジオで手品を演じることの解説があったりして、そこで解説されてるコインアクロスも理にかなっていておもろかった。

The Darkest Corners – Vanishing Inc. Magic shop (レビュー)

Casual (Looking) Magic (Mere Practice)

マニアによるによマニアックな技法とマニアックな手順。
ワンハンド系の技法や、そのプロットにそれ使うのかという手順もあってとてもマニアでした。
変わったトランスポジションの解決をする”True Transpo”が結構ツボ。ちょっと笑ったけど、入れ替わりを突き詰めるとこれに行き着く気がします。

Amazon | Casual (Looking) Magic | Practice, Mere | Crafts & Hobbies (レビュー)

By Forces Unnoticed / Teleport / Andrew Frost (@sleight’lyobsessed) – Download Bundle 2020 (Andrew Frost)

めっちゃ上手い人ですけど、上手いだけの手品ではなく上手い人にしか思いつかない手順という感じなのでいつも面白いです。
カリーターンオーバーを使ったトランスポジションとか、そういう全体的な強さが良く発揮されてたなーと。
Earick本トリビュートのBy Forces Unnoticedでは”Exchange Rate”、移動をテーマにした”Teleportでは”Flash/ Flashback”が特に良かったです。
かっこいい。

Andrew Frost (@sleightlyobsessed) – Download Bundle 2020

sleightlyobsessed Teleport | gumroad

sleightlyobsessed By Forces Unnoticed | gumroad (レビュー)

Gagnon Unfiltered (Tom Gagnon)

高難度技法だけでなく、クリップを使う章、カードケースに入れた後にコントロールする章、ビリヤードを扱った章など、変なことに特化したがる感じが面白かったです。
ビリヤードボールをデックに当てて狙ったカードのところでカットされる”On Cue”は傑作でした。
同じような現象や同じ技法を使うものが多いけど、ちょっと出来る様になって手動かしたら良さがわかってきた感じあります。
技法はスプレッドからのマルチプルシフトを練習していて、ようやく形になりかけたと思ってたら横からポロリしまくってたので萎えました。また来年。

GAGNON UNFILTERED (2019) – Tom Gagnon Magic (レビュー)

Curious Impuzzibilities (Jim Steinmeyer)

ステインメイヤーのImpuzzibilities8作目。
“Excessive Force”は演者と観客で別の数字を選ぶのに同じ結果になる手品で、この原理を上手いこと使った手順でした。一致系の現象に幅広く応用できそう。
動物を予言する”A Pretend Magic Show”は台詞回しが秀逸。
コンセプト的にどれも上手く観客に指示を出せるか勝負のものですが、やっぱり何もしなくて良いのは楽だし観客の自由な選択が活きますね。

Curious Impuzzibilities – Jim Steinmeyer – Vanishing Inc. (レビュー)

原理主義 (佐藤水城)

あみだくじ手品。
”阿弥陀#2.2″は画期的で、今後これ以上のものは出ないであろうという完成度。
こういう新しい事をやっていていきなり決定版みたいなのに出会う興奮はたまりませんね。
クラシック化していくであろう手品なのでリアルタイムで読めて本当に良かったです。

原理主義 by砂糖水 – マジックショップMAJION (レビュー)

52Hz (ムナカタ・ヒロシ)

道具、原理、テクニック、あらゆるものの新しい価値を提示している一冊で、アイデア先行でもなく現象も演出も文句なしに面白い。
移動の章では”Double Date”、メンタルでは”Power of ‘JUNISHI’”、Playingのとこは”Rashomon Monte”、エトセトラは”Sinking Aces”、ルポール封筒もめちゃ良かったです。いや、これ以外にも好きなやついっぱいある。最高でした。

DLC版 52Hz | ムナカタヒロシのショップ (レビュー)

ZOOMentalism (Mark Elsdon)

発表済みの作品の再編集版でZoom特化手品ではないので、まあ生でやった方が面白いよねという感じではあるんですが、それでも道具を持ち歩かなくて良い手品というのは魅力です。
観客がポケットから取り出す合計額を当てたように見せる”All Change”、スマホのメモ帳で出来るメンタルマジック”21st Century Telepathy”、ちょっと変わった電卓数字当て手品の”Dreamachine”の3作あたりは特に知れてよかった感じです。

ZOOMentalism – Mark Elsdon – Vanishing Inc. (レビュー)

ヒロ・サカイ マジック・コレクション

カードとコインは知ってるのが多かったけど、久々に手を動かして良さを再確認できました。
カードはバンド・イット・ランが永遠のベスト、コインはもぐもぐが好きです。
紙幣はどれも良かったけど、スーパー・ハイウェイが一番ハマりました。伸びる。
サロンステージは封筒越しに触ったことは誰もないの(パンシルク)とムーンライト・ロープカットの賢さに痺れました。
他、汎用性の高いスイッチデバイスがあって、あれもめっちゃ良かったですね。

ヒロ・サカイ マジック・コレクション – 株式会社 東京堂出版 (レビュー)

The Boy Who Cried Magic (Andi Gladwin)

ステージで見せれるやつがどれも良かったです。現象てんこ盛りの長編ルーティン”Castle Jacks”、観客がポケットの中からカードを探し当てる”Aura”、割と低負担で出来る面白演出のカードトゥポケット”Supersonic”など。
クロースアップ系はライブレクチャー等で細切れに見ていたけど、まとめて読むとこれだけ作っててすげーってなりますね。
始まる前に終わってるようなサンドイッチ”Ghost”も好き。

The Boy Who Cried Magic – Andi Gladwin – Vanishing Inc. (レビュー)

コインがあやなす奇譚な物語 (Luis Piedrahita)

訳されて欲しかった本だし解説がどれも面白いので読めて本当に良かった。
トイレットペーパーとプチプチも傑作だけど、見た目クラシックなやつの練り上げられた構成にも惹かれました。
コイン・スルー・ザ・テーブルはめっちゃ完成度高いと思います。

コインがあやなす奇譚な物語 | スクリプト・マヌーヴァ (レビュー)

喪男コインマジック Ⅱ (みやもと)

マジックの中でやる必要があるのかという即物的なギャグとは一線を画す、手品としか言いようがない脱ぎっぷりが素晴らしかったです。

【ダウンロード商品】喪男コインマジックII byみやもと – マジックショップMAJION (レビュー)

In Order To Amaze 日本語版 (Pit Hartling)

メモライズドデックもそうだけど、カードマジックまだまだ面白くて不思議なことできるなってことばっかり書いてます。こんな読後感は滅多に味わえません。
日本語で読めたことに感謝するのみ。

Pit Hartling 『In Order To Amaze』 | 教授の物販 (レビュー)

CBS (Paul Vigil)

Vigilの手順は大まかな流れと強い原理はそのまま活かしてちょっとした工夫と構成で物凄く良くしてしまうものが多く、CSBとか絶対良いやろと思ってましたがやっぱり良かったです。思ってたより良かった。
しかし本当何やらしても上手いですね。
CSBをフェイズが重なるルーティンにすると、詳しく分かるわけじゃなくてもあれとあれがあーなるんだなというのがなんとなく染み出てしまうものだったりしますが、このCBSという手順は最後まで意外性があるし処理からあらための軽い扱いもお見事。

CBS by Paul Vigil (Copper Brass Silver) Video Only

The Amazing Sally Volume 3 (佐藤喜義)

メインで扱われてる水かきパーム、指が自然な形で開き筋肉の緊張も見えず、ポジション的にも色んなことが自然に行えるようになったりして時間かかりそうだけど修得したい技法です。

手順では面白い形でコインが増えていく”オープニング・フォー”と、連続する入れ替わりの”コプシルブラス”、マトリックス系の手順では”ノー・エキストラス”を始めとするチンカチンクの配置の仕方がとても手に馴染みました。

Secret Language Vol. 1 (Helder Guimaraes)

デカくて重い画集みたいな作りに臨場感のあるFultonの写真がかっこ良すぎました。
技法、こだわりを突き詰めて確実にアップデートされてる感じがとても良かった。ドロップスイッチとサンドイッチであれするやつとフォースと4-4のスイッチとDMBのやつとファローのフォールスと…技法でこれだけ役立つのが入ってたらもう、もう。
過去作でも現象を重ねながらクライマックスに持っていく巧妙な構成は見られましたが、本書ではより重厚な大作がどっさり解説されています。個人的に一番好みのラインが来た感じで最高でした。
“Professional Hour”、”Unexplained Understandable”、”The Only Path”、”Midas’s Touch”、”Synchronicity”どれも痺れました。
長編の手順に目がいってしまうけど、”The Empty Space”、”The Restless Joker”、”Invisivle”あたりも好き。

The Only Pathはめっちゃ良かったですね。デックを使わずに1枚決めるトリックが更に不思議に面白くなってる。
Midas’s TouchはエニーポーカーハンドSynchronicityはコインシデンス、どちらも観客のシャッフルを含むもので、文脈を壊さず一番見せたいもののために現象見せつつカバーしつつ目的地まで行ってて凄い。

エッセイはまだ読み切れてないけど、最後のやつが結構大事なこと言い切ってる気がします。

The Expert Card At The Table 新訳版

Majilさんによる新日本語版。
プロが明かす〜もめっちゃ読みにくいというわけではないけど、はっきり良くなってる点について。
まずはなんといっても豪華な装丁。バーノンはじめ、多くのマジシャンの座右の書としているこの本、そういうオーラがこの日本語版にもあります。
あと、原題が併記されていること。参照として使うことが多い本なので超助かります。
誤記と思われる箇所の訳註も親切で、普通に指の名前が間違ってたりするし、プロが明かす〜で苦戦する原因はここなのでとてもありがたいです。

訳はまず、である調になっています。こういう本には断言してほしいので雰囲気と合ってました。
技法の解説については動きの連なりを掴みやすい感じになってるように思います。
手順パートのセリフとかもはっきり面白さが伝わる文章。「上級階級という選ばれた者の集まりに入り込もうとする平民の努力が, 如何に無駄であるか」で始まるアセンブリ。奇術におけるセリフの重要さを言ってる人なので、この辺がしっかり訳されてるのも嬉しいです。

内容は言わずもがな。ディール系はまだ全部手をつけられてないですけど、一旦この本の記述通りに染み込ませたい。避けてた技法も多いんで、手に取り繰り返し読みたくなるような本と文章であることのありがたみを実感します。パームのカバーとか今まで読み飛ばしてたことも多く、テクニック以外にも見て覚えてもらうカードの特定法とか、フォースの解説とか、片手トランスフォーメーションの音の処理とか、トリックのセリフとか、ページ開くだけで面白いことが書いてる本です。
一通り手を動かして、とりあえず一流の人達の愛読書となってる理由だけでもわかるレベルになりたい。

以上です。
だいたい全部で400トリックぐらいだと思いますがジャンル別ベストを残しておこうと思います。

カード

  • Ramon Rioboo “The Roulette Deck”
  • Ryan Plunkett “Any Card at Our Numbers”
  • ムタカタ・ヒロシ “Double Date”
  • Pit Hartling “The Right Kind of Wrong”
  • Helder Guimaraes “The Only Path”

コイン

  • 園内五果 “Rule of RPS”
  • Luis Piedrahita “コイン・スルー・ザ・テーブル”
  • みやもと “Naked Miser’s Dream”
  • Paul Vigil “CBS”
  • 佐藤喜義 “アメージング・キャシー”

カードとコイン以外

  • David Regal “Fiscal Waste”
  • K-Go “Repurse”
  • Ben Hart “A Shot in the Dark”
  • 佐藤水城 “阿弥陀#2.2”
  • Mark Elsdon “21st Century Telepathy”

色々大変なこともあったけど、そんな気がしないぐらい良い手品もいっぱい読めた年でした。
良いお年を。

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